釈迦坊主

1月のメインビジュアルはラッパー/トラックメーカーの釈迦坊主が登場。

今回は香港の老舗ストリートブランドdragonmade8 とカメオ。「脱皮」をテーマにアジア=生産国のステレオタイプを覆し、勃興するアジアンストリートとホストからラッパーへ変貌した釈迦坊主の根源を歌舞伎町で映し出す。

今回の表紙のテーマは「脱皮」になりますが…

最近自分がちょうど考えてるテーマですね。今日の撮影も本当は髪の毛染めたりイメチェンしてから来たかったんです。自分ずっとこの髪型、黒髪でロン毛なんですよ。アー写もずっと一緒なんで、さすがに脱皮してえなって。

脱皮したいと思うきっかけが何かあったのでしょうか?

以前呼んでもらったイベントにまた誘われた時に、アーティスト写真がずっと変わってないから「新しくしなよ」って突っ込まれて、「確かに!」って。その時、アー写を3〜4年使ってるんだなって改めて思って、でもあの時から精神的にもそんなに変化がないからずっと使ってるんですよね。

釈迦坊主さんにとって、外見的な変化は内面も伴うということなのでしょうか?

内面の変化=外見の変化ですね、一緒ですね。“男にフラれて、髪の毛切る女子”みたいな感じですね。

内面も変わりたい欲があるのですね、自身の理想像はありますか?

そうですね、変わりたいですね。理想像は?って言われると特にないんですよ。とにかく変わりたいしかないんですよね。

以前60MAGのインタビューにて、ご自身のことをタロットカードで例えられていたのが印象的でした。隠者と法皇、2つの自分がいると。

タロットはハマってましたね。訳わからないこと言ってますね、申し訳ないです。今は全然タロットとか、興味なくて過ぎ去ったんですけど…

で、更にライブの時は本当の自分でいられると仰っていたのが印象的で。釈迦坊主さんの本当の自分って、どちらなんだろうと。アー写と同じく変わらない軸がそこにあるのかなと思いまして。

そうですね。そもそも自分はトラックメーカーでありラッパーなんですよ。個人的に活動してるけど、TOKIO SHAMANでみんなともイベントして。「いや、結局どれやねん」って自分でも思うんですよね。スタジオに籠って曲を作る隠者的要素もあるけど、気づいたら歌舞伎町で週3~4遊んでる自分もいるんですよ。そうですね、2人って言い方すると狭いですけど、いろんな自分がいますね。難しいですね。

ちなみに今日も歌舞伎町で撮影をしますが、釈迦坊主さんにとって歌舞伎町はどのような街ですか?

個人的な感覚ですけど、“人間の欲望”じゃないですかね?とにかく落ち着きますね。渋谷より新宿の方が落ち着く。なんか、シンプルに欲望剥き出しな感じというか…。

「歌舞伎町行くのやめよう」って何回も思うんですよ、でも行っちゃうんですよ。もうやめられないみたいな。

“歌舞伎町へ行くのをやめる”理由とは?

別に良い出会いも無いし、アホみたいに金使って、二日酔いになって、物無くして…。絶対に良いことって無いし、次の日後悔しかないんですよね。くだらない会話しかしないし、謎のサパーとか行ってカラオケしてるだけ。あそこで得るものが何もないというか。

魔剤みたいになってるんですかね?

そうですね、歌舞伎町に持ってかれちゃってるんですよね。多分、俺が歌舞伎町に行かなくなったら脱皮したって事ですよね。今、気づいたっす。

外見の変化も脱皮に伴うということで、釈迦坊主さんの見た目が変化したら、「歌舞伎町をやめたんだな」と思っていいと?

そんな感じですね。髪が青なのか緑なのか、坊主なのか、何なのかわかんないですけど、そうですね。

仏教用語になっちゃうんですけど、“渇愛”って知ってますか?簡単に言うと、ワンナイトラブですね。それを求めちゃうんですよ。でも、渇愛って満たされないんですよね。女の子と遊べば遊ぶほど、人のことをどんどん好きになれないというか。まあ、結局遊び散らかしてるんですけど、それをやめたいんです。1人の俺は「やめようよ」って言ってるけど、もう1人が「しゃばくせえこと言ってんじゃねえよ」って、常に2人が戦ってます。

“渇愛”によって満たされない部分を満たすものはありますか?

多分、結婚ですね。愛を知りたいし、人を愛してみたいです。渇愛してると、どんどん遠ざかるんですよね。その理由は分かんないし、直感の話なんですけど。結婚したいっす。

『loess』では「黒い歴史を歌詞にしたら 昨日の悲しいが 今日明日の楽しいになった」と綴っていらっしゃいましたよね。歌詞することで渇愛からの循環が生まれているのかなと。

そうですね、それもあります。因みに、今作ってるもののテーマが“渇愛”だったり”欲望”だったりするので、完成したら是非聴いて欲しいですね。

脱皮の話に戻りますが、竜に対してはどのような印象ですか?『DRAGON』もリリースされていましたが。

本名が龍之介なんですよ。竜って伝説の生き物だから、伝説の男になれって意味合いで名付けられてて。伝説の男になんなきゃなって思います。みんな竜を見たことがないけど、イメージできるじゃないですか。それって、概念みたいな存在ってことなんですよね。

俺の中のドラゴンは一言で形容しづらいけど、やっぱり伝説。見たことは無いから、分からないし、怪しいもの。自分もそういう存在になりたいですね。伝説の男になるには、修行が必要なんですよね。タバコ辞めたのも高い音が出なくなるからで、音楽的な表現の幅を狭めたくないんですよ。そんな意識じゃ伝説にはなれんよなって。

なるほど。

渇愛をやめたとき、“竜=伝説”になれると思うんですけど、今日新宿なんで、渇愛しそうで怖いですね。

2022年の抱負をお願いします。

この前Red BullのRASENにトラック提供したんですけど、その時の反応に「釈迦坊主ってトラック作れんの?」ってのが多くて。俺、最初っからトラックもミックスもラップもマスタリングまでもやりますよってスタンスなのに、全然浸透してねえわって思って。むしろ、ラップよりトラックが先なんですよ、インストゥルメンタル作ることを先に始めたんで。なので、2022年はトラックメーカーとしてもかましたいです。トラックメーカーっていうか、もはや劇伴作ったりしたいです。2022年は脱皮します。見ててください。

因みに、2021年は脱皮に向けて準備することがあった?

そうですね、断捨離めっちゃしたんで、2022年に向けての準備だったのかなって。もう部屋にも物がほぼ無いんですよ。なので、今はアイスランドのちょっといい暮らしできる刑務所みたいな感じですね。脱皮に向けて、それでいいなって。

最後に、伝えたいことあればお願いします。

まあでも、世の中大変なことになってると思うんですけど、1つだけ、1つだけ本気で伝えたいことがあって。みなさん、まじで納豆食べて欲しいですね。もうこれだけです。

Model:shaka bose
Photographer:Horie Yuri
Stylist:Tachibana Shogo
Hair&Make:Mori Eriko

〈Costume credit〉
Shirt:Dragonmade8

〈釈迦坊主〉
和歌山県御坊市出身。
ラッパー。
トラックメイカー兼ミキシングエンジニア。

New EP『RYO』
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