少し前までは、紙媒体(雑誌や新聞)がメディアとして大きな影響力をもっていたが、今は、ネットで情報を収集する時代である。
インターネットの普及によって、様々なwebメディアが乱立し、昔に比べてメディアとしての紙媒体の影響力はかなり落ち込んでいる。
そのせいでメディアとして貴重な収益源である「広告」もデジタルシフトを起こし、企業は広告費をデジタル広告へと傾け、今まで莫大な広告費をもらってを運営をしていた雑誌や新聞は、軒並み閉刊となっているのが現状だ。
そういった「広告のデジタルシフト」が様々な業界で起きている中、ファッション業界に関しては、ファッション雑誌に広告を出稿するブランドはまだ多く、各社の広告費の多くは雑誌へと使われおりデジタルシフトが起きていない。
様々な業界でデジタル広告へのシフトが起きる中、ファッションブランドがデジタル広告に躊躇するのには、理由がある。
意図せぬサイトに広告が出てしまうことも……。
デジタル広告には、様々な広告商品がある。
インターネットという自由な空間へ広告をだすことは、紙媒体に比べて自由度が圧倒的にあるがゆえにユーザー属性や行動、様々なデータに基づいたプロモーションが可能となり、高い費用対効果が期待されている。
しかし、ユーザーの行動や属性に基づいて表示されるがゆえに、ポルノサイトやフェイクニュースなどのサイトにブランド名が出てくることもありうる。
これが、イメージを大切にするファッションブランドにとっては、非常に頭を悩ませている問題なのだ。
実際、この7月には、フランスのジュエリー・高級時計ブランド「カルティエ」の広告が右翼派のサイトに表示されてしまい、ツイッターで指摘されたこともある。
デジタル広告の費用対効果の高さや自由度は、ブランドにとって全てメリットというわけではないのだ。
一方で、ファッション誌への広告出稿は、全く関係のない食品の広告などと横並びにされたり、ポルノサイトのようなコンテンツと一緒に表示されるることはなく、ブランドイメージを壊すことはない。
なので、下手にデジタル広告に予算をかけてブランドイメージを壊すくらいなら、影響力は落ちているものの、強いブランド力のあるファッション誌をメインに広告を出稿した方がいいだろうという判断も頷ける。
また、これはファッション企業だけに限ったもんだいではなく、実際に今年初頭にペプシコーラやウォルマートなど大手企業も、動画配信サービス『ユーチューブ』などから広告を引き上げている。
このように、ファッションブランドを始めとするブランドイメージを大事にする企業にとって、効果的なデジタル広告はなんなのだろうか。
インスタグラムアカウントの運用や、ブロガーやモデル、セレブなどのインフルエンサーを起用したプロモーションなど、各社、様々なデジタル広告の手法を試しており、まだ、これといった正解は出てきてはいないように感じる。
デジタルで、ブランドイメージを崩すことがなく、雑誌以上にブランディングのできる広告商品の誕生は、ファッション業界を大きく動かすことになるだろう。
そして、それはファッション誌を一気に衰退へ向かわせることにもなるかもしれない。