アジア各国のファッションディレクターに、ローカルな人気スポットやその国のストリートファッション、HIP HOPの実情を、SIXTYPERCENTのブランドディレクター Nanaが探る連載企画。

今回は、起業家としても高く評価されているAlan Kingにインタビュー。彼が率いるブランド、AKINGSはコンテンポラリー市場にアジアのファッションスタイルを持ち込み、ライフスタイルにフォーカスしていることで有名だ。

これまでブリティッシュGQ、ハフィントンポスト、NBC、バズフィード、We have featured on British GQ, Huffington Post, NBC, Buzzfeed, 2018年に注目すべきトップ起業家ランキングなど数多くのメディアに取り上げられた新進気鋭のブランドデザイナーにこれまでの軌跡をインタビュー。

Nana:こんにちは!今回はAKINGSからAlan Kingをゲストに迎えています。まずはブランドのコンセプトを教えてください。

コンセプトは自信だったり、その自信を私たちの服に反映させることです。今ではそのコンセプトが自体が服以外にイベントだったり、長期的に今後ブランドとしてやりたいことにつながっています。 例えば、私たちが作った体験型スペースは最近バズっています。

ランウェイで多様性が表現されていたり、次々と間近で新しい服を着た人が出てくるのはワクワクしますよね。そのアイデアは見ている人たちにワクワクを与えるのと同時に、その多様性自体が私たちのブランドを象徴していて、 いわゆるランウェイモデルよりも私たちの作る服を知ってくれているお客さんのことを考えて作っ たものなので、ブランドが成長する上で大切なイベントでした。

Nana:それは絶対にそうですね。 ブランドの名前はアランさんの名前をもとにしたものですか?

AKINGSはブランド名で、Alan Kingがデザイナー名です。AKINGSと言う名前は私にとって自信を象徴する名前で、私が作りたい世界のインスピレーションとなっている名前です。

私がファッションに興味を持つきっかけになったのがハイストリートファッションで、高校生の時でした。「シュプリームがリセールしてるぞ」とか「ナイキとジョーダンは古着としてもこんなに価値があるんだ」とよく考えていました。ファッションに価値があるって初めて思ったのがリセールにのめり込んだ時で す。「フーディにこの人たちは300ドルも使っているんだ!」とびっくりして、15歳なら誰でも考えるように「これなら自分でも作れるかも」と思い始めました。

Nana:無意識のうちにその頃からマインドがビジネスマンだったんですね。

それがファッションと僕の最初の接点ですね。デニムを着て育ち、ジョーダン、ナイキ、シュプリーム、オフホワイトに興味を持っていく中で、ストリートウェアは僕にとってとても大きなインスピレーションになりました。どういう過程でこうした服が作られて、インスピレーションを間近で見れるのが大きくて、ソーホーの街にいるとあっちにはルイヴィトン、こっちにはBAPEとごちゃ混ぜに並んでいるので、ハイプカルチャーとハイファッションを両方見ることができました。

Nana:それはすごいですね。

そこに僕はすごい興味を当時持っていて。BAPEの店の周りを歩いているときに、すごい行列が できていて、何のお店かはわからなかったんですけど、何点か買うために並んでみました。

Nana:そこもインスピレーションの一つになりましたか?

そうですね。それがファッションを好きになったきっかけですし、ファッションのコミュニティを見るきっかけにもなりました。ソーホーとかブロードウェイにはブルーミングデールがあって。でも一歩 曲がると、「BAPEこんなことやってるの?なんで?」とかってなって。「これはソーホーのメインスト リートとは全然違うぞ」と。そういったものにどんどんニューヨークで育つ中でどんどん影響され て、「自分にもできるかも」という思いが強くなっていきました。

実は高校生の時にも自分のブランドを作ろうとしたこともあったんですけどね。

Nana:本当ですか?

そうなんですよ。シャツとか色々。ずっとデザインをしていて。ジーンズも作ってみて。そうしたデザインの写真をインターネットにあげてみたら、Redditでバズり始めました。

そうしたら、僕のウェブサイトを見つけた人たちがいて、SNSでもフォロワーが増えていきました。今に繋がっていることで言うと、3、4年前に自分のブランドアイデンティティに気付いたことですかね。

歳をとる中で、 自分のスタイルだったり、デザインがより凝縮されていきました。そしてAKINGSのアイデアが出来上がって、一本化していきました。前のブランドの時はもっと色々ランダムだったのですが。

Nana:ブランドの哲学みたいなものが出来上がっていったんですね。

はい、哲学みたいなものとアイデアをどんどん膨らませました。この2年くらい私たちのSNSアカウントのフォロワーは増え続けていて、ビジネスにより集中するようになりました。チームも育ってきましたし、そのチームもまだ若いので、これからという感じですね。

Nana:普通はもっと時間がかかるものの、AKINGSはもうNYFWにも出ていますよね。

以前はポップアップとか色々やっていたんですけど、その中で自分たちのお客さんが欲しているものにより耳を傾けるようになりました。コミュニティーが大きくなると同時に、自分たちでイベント企画したり、100人単位のイベントでも集客できるようになりました。自分たちで展示したりショーをする中でプロダクションから何まで、自分たちでできるようになってきました。NYFWで言うと、まだ小さいブランドの時に入ると、とっても貴重な体験です。メディアに出る回数が増えたり、「このエディターがショーを見にきていたよ」とか様々な経験ができます。

Nana:ブランドとしても確立されますよね。

NYFWに出ると150,000ドルくらいコレクションのショーをするのにかかるんですよね。プロダクションコストなどで。でも私たちは、「自分たちでイベントをしよう」となって。お客さんがいて、ブランドを応援してくれる人たちがいて。自分たちでゲストを呼んで、お客さんを呼んでイベントをしようと今は思うようになりました、自分たちのコントロールが及ぶ範囲で。それが今のニューヨークのファッションシーンのトレンドで、カルバンクラインとかトムフォードも同じようなアプローチをして います。「自分たちでもしてみよう」と。

Nana:新しいシステムを作られたんですね。

ランウェイショーもいくつかやったことはあるんですけど、あんまり好きではないんですよね。多分ストリート界にバックグラウンドがあるからなんですよね。(ランウェイショーは)「こんなに時間かかって努力したのに、10分で無くなっちゃうじゃん!」って。

Nana:それは確かにそうですね。

ある種のノスタルジーだったり、若い人にも伝わる魅力がランウェイショーにはあるので、なくなることはないんですけど、自分たちのイベントでやりたかったのは、全部自分たちでやると言うことですね。コレクションのドロップから、いつ全体をお客さんに披露するのか、どこでポップアップを開くのか、ショーケースするのか。ランウェイの要素も入っています。

Nana:東京でそういうイベント見たことないです。

これをツアーみたいにしたいですね。今だとニューヨークとLAだけど、いずれはヨーロッパとかアジアも。

Nana:アランさんがブランドの戦略的なところも決めているんですか?

最終的な決断は僕がします。そういえば、クリスマス前にポップアップをして、あるショールームとのコラボレーションをしました。今後もこういうことをしていきたいですね。

Nana:お客さんの層はどういった人たちなんですか?

 一番多い層は25歳から35歳の間の人たちですね。そこの層が一番多いんですけど、二番目に多いのが18歳から25歳の間ですね。私たちのブランドはクオリティに拘っていて、コピペみたいなことはしたくないんです。

そういった革新的なことをしていくためにもコストはかかるものなんです。AKINGSのお客さんは、人生の新たなフェーズに入る時に私たちの商品を買う人が多くて、たとえば初めての大きな仕事とか初めてのボーナスが入ったとか。そう言う大きな出来事があったと同時に、着る服もアップグレードしたいなと思って手に取る方が多いです。

Nana:アジアの人ってハイストリートウェアにそこまで興味がないイメージがあるから面白いですね! ブランドを作っていく中で、悩んだことだったり、大変だったことはありますか?

一番大変だったのはいいチームを作ることですね。特にブランドを作りたてのときは、自分を信じてくれる人たちを見つける必要があって。僕の場合、ファンディングを最初しなかったので、そこから始めるのは大変でした。

Nana:今はブランドチームに何人くらいいるんですか?

10人から12人くらいですね。早くブランドが成長しすぎちゃうのも大変なんですよね。

Nana: ブランドとしてAKINGSは今急成長してますよね。

すごいことです、本当に。大変は大変なんですけど、今の大変さはブランドを始めたときとはまた違った大変さです。最初のうちは「お客さんがいない」みたいな感じなんですけど。

Nana:もっと単純な問題だったんですね。

そうなんです。

Nana:AKINGSみたいに今から自分のブランドを作りたいと言う人たちに何かアドバイスはありますか?

ブランド自体がお客さんにどういった感情にさせることができるかということが大事だと思います。デザインも他のブランドに比べてどう特別で異なったものかを見せるためには大事です。私がいるカテゴリーでは特に。クチュールとかハイファッションだったら、ヴィジョンとかも大事かもしれないけど、私はデザインを超えて、そして服の見た目のかっこよさを超えて、「この服でお客さんをどういう気持ちにできるか」「自分たちのブランドでお客さんをどういった気持ちにできるか」とファッションを超えて考えるようにしています。こういったことをまとめて考えるために、長い時間がかかりましたし、自分のする全てのことにこうした考えを反映させるのにも時間がかかりました。

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