先日Business of Fashionに『Ugly Fashion is Big Business』という記事を見つけた。

最近『アグリー・ファッション』と呼ばれる、洗練されたクールで美しいデザインとは真逆な、あえて外したようなブサイクなデザインのファッションがトレンドとなっているようだ。

しかし、この『アグリー・ファッション』とは、決して新しいモノではない。

ファッションにはいつの時代も、洗練されたクールで美しいデザインのものと、決してそうではないあえて外したようなブサイクなデザインが存在している。

『アグリー・ファッション』は、昔から人とは違った個性を出したい人たちから支持を受け続けており、普段はクールなデザインを手がけるようなアパレルブランドでも、あえてそこからハズしたすこし「ダサい」アグリーな商品を出したりもしている。

ただ、一部の個性派のファンに支持されていた『アグリー・ファッション』が、最近では、ミレニアル世代で広くトレンドとなっており、多くのアパレル企業の売り上げを支える柱にもなっているという。

『アグリーなアイテム』こそ、ソーシャルメディアでウケが良い

『アグリー・ファッション』がミレニアル世代の間でウケがいいのは、SNSの影響がとても大きい。

インスタやツイッター、いまやミレニアム世代であれば誰もがそこから多くの影響を受ける。

とくに、「インスタ映え」と言う言葉も広がったほど、インスタグラムで反響が良い物がより販売数を伸ばしているのも事実だ。

そして、「インスタ映え」するものの多くは、珍しいものであったり、カラフルで驚くほどキャッチ―な写真なものが多い。

誰もが、「インスタ映え」するものを探しいる中、まさに「インスタ映え」には最適な、奇抜で個性的なアグリーなアイテムをミレニアル世代が買いあさっている。

美しさより、ugliness(醜さ)を強調したデザインのウケが良いのだ。

スタイルより『着心地の良さ』と『楽さ』が大切

アグリーなアイテムに加えて、機能性や使いやすさなどを追求したアイテムもいまは人気を集めている。

ミレニアル世代でいま大人気の『GUCCOI(グッチ)』も、販売前に「スタイリッシュではない」「ダサい」と批判されたベルトバッグは、蓋を開けると販売後2日で売り切れた。

このベルト・バッグが完売した理由の一つが、ただ単に「手で持たなくて良いから楽」というものだったことには驚いた。

「ダサすぎる」と話題となったこの『Balenciaga(バレンシアガ)』のTriple-soledスニーカーも、数時間で完売したという。

何よりもComfy(心地よさ)を求め、デザイン性は後回しという若者がとても増えている。

もう一つ人気の秘訣は、同じブランドから発売される、スタイリッシュなラインの商品より、アグリー・ファッションの商品は値段が安く設定されている。

そのため、ラグジュアリーブランドの商品でも、より手が延ばしやすいのだ。

ハイヒールからfoot-friendly styles(履き心地の良い靴)が流行へ

この写真は、『UGG(アグー)』で注目された履き心地の良いサンダル。

セックスアンドザシティを見ていた世代は、 『Christian Louboutin(クリスチャンルブタン)』に憧れ、誰もがハイヒールを履いてドレスアップをすることを夢見た。

なぜこんなギブスの様なデザインが人気なのか理解できない人もいるだろうが、この商品は事実、とても売れた。

今の若者は、そもそもセックスアンドザシティを知らないのだ。

『醜さは、人間そのもの』

 

『PRADA』を立ち上げた、世界的なファッション・デザイナーのミウッチャ・プラダさえも、2013年のあるインタビューで、以下の様に語っている。

「アグリーは魅力があるの。完璧な美しさを求めるより、醜さを研究する方が、すごく面白いの。
なぜかって?醜さとは人間そのものだから。」

確かに、創り上げられた完璧な美を求めている人も多いが、ミレニアル世代の中では、今までは、一般的に「ダサい」といわれる物が、逆に「おしゃれ」と捉え、それに加え、デザインより、『心地の良さ』や『楽さ』を求めるようにもなった。

オシャレのために我慢する時代は、終わったのかもしれない。