アメリカを中心に大きな話題を呼んでいるマーベル映画『ブラック・パンサー』が、日本でも2018年3月1日に公開される。

アフリカにある架空の王国「ワカンダ」を舞台に国王とブラックパンサーの2つの顔を持つ男チャラの活躍を描くアクションだが、衣装デザイナーのRuth E. Carter(ルース・E・カーター)が手掛けるコスチュームにも注目が集まっている。

スパイク・リー作品を手掛けてきたことでも知られるカーターは、アフリカ系アメリカ人の歴史と現代文化のイメージをスクリーンに映し出す。

ブラック・パンサーの劇中にもアフリカ文化をモチーフに制作された色鮮やかなコスチュームが登場する。

ブラックパンサースーツ

https://www.nytimes.com/2018/02/23/movies/black-panther-afrofuturism-costumes-ruth-carter.html

劇中では金属製という設定のブラックパンサースーツだが、実際には戦闘時のしなやかな動きを可能にするため、光沢のあるジャージ素材で作られている。

カーターはマーベルがデザインしたスーパーヒーロースーツに、三角形のモチーフを追加した。

彼女は三角形のモチーフを「アフリカの神聖な幾何学模様」と呼んでおり、チャラのスーパーヒーローとアフリカの王という2つの役割がコスチュームにも反映されている。

ラモンダ女王の王冠

https://www.nytimes.com/2018/02/23/movies/black-panther-afrofuturism-costumes-ruth-carter.html

Angela Bassett(アンジェラ・バセット)演じるティ・チャラの母であるラモンダ女王が身につけている王冠。

アフリカのズールー族の女性が結婚後に身につける帽子から着想を得て作られたというこの王冠は、着用可能なプラスチックの専門デザイナーJulia Körner(ジュリア・コーナー)の助けを借りて、3Dプリンターによって作られた。

カーターによれば、設計の権利を得るのには半年間かかったとのこと。

ウカビのマント

https://www.nytimes.com/2018/02/23/movies/black-panther-afrofuturism-costumes-ruth-carter.html

Daniel Kaluuya(ダニエル・カルーヤ)演じる、国境を警備するボーダー族のリーダーを務めるウカビ。

彼が身に着けているマントは、アフリカ南部の国レソトのマントからアイデアを得ており、このマントに描かれた絵柄は王と収穫を象徴している。

劇中に登場するマントは盾としても活躍する。このアイデアはディレクターのRyan Coogler(ライアン・クーグラー)のものだ。

「アフリカの芸術や衣服や建造物は、複数の用途を持つことがある。この美しい布も、自分の身体を保護するだけでなく、自国の文化や歴史も伝える役目も持っている。」と彼は語った。

ナキアのドレス

https://www.nytimes.com/2018/02/23/movies/black-panther-afrofuturism-costumes-ruth-carter.html

Lupita Nyong’o(ルピタ・ニョンゴ)演じる女スパイのナキア。

ナキアが所属する川の部族はエチオピアのスリ族をモチーフに描かれており、ナキアの衣装は彼らの伝統的な衣服である貝殻、ビーズ、葉でできている。

親衛隊ドーラ・ミラージュの戦士の衣装

https://www.nytimes.com/2018/02/23/movies/black-panther-afrofuturism-costumes-ruth-carter.html

赤と金の衣装を身にまとった槍使いの女性はワカンダのエリート戦士。

正面のビーズのモチーフは、トゥルカナ族やマサイ族をはじめアフリカ全土で使用されているものだとカーターは語る。

衣装全体にはブラックパンサースーツと同じ幾何学模様が描かれており、レザー部分は南アフリカの職人によって制作されたものだという。

また、8人の女戦士をより力強く見せるために、衣装の色には鮮やかな赤を選んだという。