ここ数年、リセールサイトが売り上げを伸ばし続けている。

2009年にフランスで立ち上げられたヴェスティエール・コレクティブ(Vestiare Collective)では現在全世界で600万人の会員が利用し(会員数は増え続けている)、毎週約3万点もの商品が取り引きされている。

バーニーズ・ニューヨークでポップアップを開催したリシー・ドットコム(resee.com)は大盛況のまま幕を閉じ、ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)やモデルのクロエ・セヴィニー(Chloë Sevigny)と提携するザ・リアルリアル(The Real Real)も、リセールという業態に新たな風を吹き込む手法で話題となっている。

日本でも、「メルカリ」をはじめとするフリマアプリなど、様々な二次流通プラットフォームが盛り上がりをみせ、個人間で古着などの中古品を売買することができ、タンスに眠っていたあらゆる物が価値を持つようになった。

また、あらゆる製品が再び市場に出回ることで、ヴィンテージ品や、今は生産されていない貴重なアイテムなどを手に入れることもできるようにもなった。

こうして再び市場に出回ることとなったヴィンテージ品や、もうすでに生産されていない貴重なアイテムの中には、定価の数倍から時には数十倍~で取引されるアイテムがあることもめずらしくない。

であれば、これからもまだまだ拡大するであろう二次流通市場において、今買っておけば数年後または数十年後に、価値があがるものを見極めて購入することは、投資といえるのではないだろうか。

シャネルのバッグは約20倍の値上がり?

ファッション雑誌ELLE(フランス版)に、「ラグジュアリーブランドのバッグに投資することは、パリの不動産を買うことよりもずっと有益だと言える」という内容の記事が掲載されていた。

その記事では、実際に価値が大きくあがった事例としてシャネルの2.55ラインのバッグとエルメスのバーキンをあげている。

本誌によると、シャネルの2.55ラインのバッグは1950年代の誕生以来、いまだに二次流通市場で価格が高騰し続けており、当初の販売価格で約200ユーロだったものが、今日には約4600ユーロで取引されているそうだ。

約20倍の高騰。不動産を買ってもその土地が20倍に跳ね上がるなんてことは滅多にないだろう。

エルメスのバーキンも同様に、セレブリティやインフルエンサーなど、多くのファッションフリークが巨額な金額を費やしてバーキンを保持しているため、生産数も決して多いわけではないバーキンは、非常に希少価値が高く二次流通市場での価格はここ5年以内で毎年平均14.2%も上昇しているそうだ。

なぜ、ラグジュアリーブランドのバッグは値上がりするか

先述した2つの例以外にも、ラグジュアリーブランドのバッグを販売する専門サイト『Bag Hunter』の調べによると、2016年で最も値上がりした物の中には、元値から70%上昇したものがあったという。

そして、いくら高値がついていたとしても、希少価値の高いアイテムを欲しいというファッションフリークたちの欲求は尽きず、不動産などと違って流動性も高く、二次流通市場で買われてはまた出回り、その結果ますます高値がつくというルーティンが発生しているそうだ。

Bag Hunterのディレクター、イブリン・フォックス(Evelyn Fox)は、こういった加速的な値上がりの背景には、世界的にラグジュアリー市場が変化が関係しているという。

今までラグジュアリーブランドといえば”贅沢品”として富裕層の一部の人間だけが手の届く存在であった。

しかし、今では二次流通市場が充実し、誰もが自分の所有物を売買できる時代になった。またインターネットを通して世界中の人と取引をすることもできる。

そんな現代において、ラグジュアリーブランドは、過去のように富裕層だけの間で楽しむものではなく、誰もが手の届く身近な物となったのでないだろうか。

そしてこの仕組みが、今まで以上に需要を生み出し値上がりにつながっているのではないだろうか。

まだまだ二次流通市場は拡大が期待されており、10年後、20年後にはさらに大きな価値を持って流通することになるかもしれない。

また、今はエルメスのバーキンほどは価値がつかないといったアイテムでも、時を経て希少性が高まり、10年後には数倍になったなんてこともありえなくはないだろう。

新しいバッグを購入する際は、将来的な価値も考慮して購入してみては?