先日Business Of Fashionで、今ラッパー達がファッション業界で、最も影響力があるのではないかと取り上げられていた。
その理由の一つは、アレキサンダー・ワンのAutumn/Winter 2018コレクションで、最前列であのアナ・ウィンターの隣に座ったとして、大きな話題になったラッパーのカーディ・B。
最前列のアナ・ウィンターの隣は、常にハリウッド・スターやファッション業界のトップなどが多く、今回ラッパーがこの席に座ったとして多くのメディアでその驚きが報道された。
この座を勝ち取るとい事は、つまり今一番脚光を浴びているファッション・アイコンということになる。
ヒップホップに大きな影響を受けたというアレキサンダー・ワン自身、彼のコレクションにカーディ・Bを招待し一躍話題となった事で、今回高く評価されている。

全米が熱狂するカーディ・Bとは?
ニューヨークで治安が悪いとされるサウス・ブロンクス出身、現在25歳のラッパー。
実はストリートギャングのメンバーを経て、19歳の頃元カレの暴力から抜け出すためにストリッパーとして生計を立てていたという。
彼女は自身の波瀾万丈の人生を隠すことなく、InstagramなどSNSへ投稿し続けた。
過激な露出の写真や動画、度々炎上してしまう発言が話題となり、ニューヨークの人気リアリティー番組『Love & Hip Hop: New York』にレギュラー出演。
2015年頃から本格的に音楽活動を始め、2017年にはメジャー・デビューを果たしている。

初のシングル『ボーダック・イエロー』は、あのビルボード トップ100で首位に上り詰めるという偉業を成し遂げた。
フィーチャリングがないソロ楽曲を歌う女性ラッパーとして、約19年ぶりの快挙であった。
テイラーやリアーナからも祝福させるなど、音楽業界で目が離せない存在となった。
『ラグジュアリー×ラッパー』
ここ数年ファッション・ブランドがカニエ・ウェスト、ドレイク、ジェイ・Zを始め次々とラッパーとコラボレーションしたり、彼らをモデルとして起用している。
特にセクシーなラッパーとして人気が高い、A$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)は、アレキサンダー・ワンやディオール オムの広告にも起用され、現在ではカルバン・クラインの#MyCalvins campaignでコラボレーションしている。

以前はダボダボなパンツにスニーカーを履いているイメージが強かった、ラッパーのスタイルは、時を経てストリートカルチャーとモードカルチャーをミックスさせたスタイルへと変わっている。
ミレニアル世代の消費者の心をつかむには、ラッパーのスタイルやミュージックが深く関係しているようだ。
Dapper Dan & Gucci のアトリエがハーレムにオープン
ニューヨーク・ハーレムの伝説のテーラーDapper Dan(ダッパー・ダン)として知られるDaniel Day(ダニエル・デー)は、1982年、地元のハーレムで初のブティックをオープンした。
独学でクーチュリエになった彼は、許可なくラグジュアリーブランドのロゴをヒップホップ風にアレンジして洋服を売っていた。
ラッパーやギャングに人気があったが、許可なく販売し利益を上げていた事から何回か訴えられ、1992年に閉店。
しかし今回あのGucci (グッチ)が、Dapper Dan(ダッパー・ダン)とチームを組んで、ハーレムにアトリエをオープン。
ファブリックやプリント、刺繍、付属品など、ガーメントに使用される素材はグッチが提供し、Dapper Dan(ダッパー・ダン)がアレンジして仕立ててくれると言う面白い企画だ。
今ラッパー達は、ファッション・モデル以上に影響があり、ラグジュアリー・ブランドは新しいヒップホップ・スタイルに移行できるかが、鍵となっているようだ。