海外ドラマブームの先駆けとして、世界中の女性が夢中になった「Sex And The City(セックス アンド ザ シティ)」。

大都市ニューヨーク・マンハッタンを舞台に、都会で働く女性の恋愛、セックス、友情、仕事など、刺激的かつ鋭い切り口で女性のリアルな心情が描かれ、社会現象となるほどの共感を呼んだ。

最初にドラマの第1話が放映された1998年から、今年で20年を迎えた今も尚、注目され続け、色褪せない事に改めて影響力を感じる。

パトリシア・フィールドとキャリー・ブラッドショーの密な関係

ドラマが大ヒットした要因のひとつに、主人公キャリー・ブラッドショーのファッションが挙げられる。

スタイリストのパトリシア・フィールドは、ドラマが始まる3年前にキャリーを演じたサラ・ジェシカ・パーカーと出会った事をきっかけに、ドラマ全編の衣装を担当することになった。

ゴージャスで斬新、時には奇抜なファッションで、視聴者を夢中にさせ、ドラマと共にキャリーは一躍、ファッションアイコンとなった。

キャリーがこよなく愛し幾度となく登場したマノロ・ブラニクの靴、イニシャルネックレス、オープニングシーンで着用したピンクのボディスーツにチュールスカートのスタイリング等、ドラマから多くの新たなファッションの歴史が生まれた。

またドラマスタート時、キャリーのキャラクター像は他のキャストに比べ絞り込まれていなかった為、パトリシアはサラと常に話し合いながら、衣装が決められていった。

キャリーは、パトリシアとサラの二人の友情、信頼、卓越したセンスから作り上げられていったのだ。

#TBT Fashion Month may be over but the fashion never stops at PatriciaField.com Pat

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幻のウエディングドレス

現代の独身女性像を描いた同ドラマであるが、キャリーはドラマに続き上映された劇場版にて、長年恋愛を続けた相手ビッグとの幸せな結婚を果たしている。

劇中では、キャリーがニューヨークを代表する有名な女性コラムニストであることを受け、VOGUE(ヴォーグ)にて特集が組まれる事になった。

これは実際に同誌編集長アナ・ウィンターの協力のもと、実現した特別な企画である。

撮影で着用されたのは、Vera Wang(ヴェラ・ウォン)、Oscar De La Renta(オスカー・デ・ラ・レンタ)、Christian Dior(クリスチャン・ディオール)、Christian Lacroix(クリスチャン・ラクロワ)、Lanvin(ランバン)、Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)と名だたるブランドのウェディングドレス。

そして実際の結婚式でキャリーが着用したのはヴィヴィアン・ウエストウッドのドレス。

ヴィヴィアン氏本人がキャリーの結婚を祝福し、プレゼントしたという何とも豪華なエピソードもある。

コルセットのようなウエストを細く絞った美しく構築的なドレスは、たちまち話題となり、全世界の女性の憧れとなった。

同ブランドは今年、劇中にドレスが登場した10周年を記念し、ニューヨークのフラッグシップストアにてオリジナルのウェディングドレスを5月27日〜6月10日の期間で展示した他、Wilma(ウィルマ)というライン名で、コルセットやカクテルドレスを販売した。

物語が終了した後も、幻のドレスは進化し続け、キャリーは尚、ファッションアイコンとされているのだ。

また、ドラマの中ではファッションに例えた印象的な言葉が多く登場し、共感、反響を呼んだ。

It’s really hard to walk in a single woman’s shoes. That’s why we need really special ones now and then to make the walk a little more fun.”

「独身女性の靴」を履いて歩くのって大変。だから私たちは時々、歩くのを少しだけ楽しくするために、本当に特別な靴が必要なの。」
(Sex And The City シーズン6、エピソード9のキャリーの台詞より)

現代の女性像を描き続けた伝説的なドラマシリーズから学ぶのは、ファッションだけでなくライフスタイル、人生そのものである。

良いことも悪いこともストレートに描かれた心情は共感を呼び、キャリーや他のキャラクターを自分自身に重ねるようにドラマを見た視聴者も多いのでは無いだろうか。

この機会に、自身を振り返るように、ドラマを見返してみるのも面白いかもしれない。