先日ロンドン、ミラノ、パリと行われた2019年春夏メンズコレクション。その中で日本の「アニメ」のキャラクターがそのままデザインされたものが登場した。
日本の文化としては以前から人気のあった漢字の他に、近年ではカタカナへの注目が集まり多くのブランドがカタカナデザインの商品を発売している。
漢字に続きカタカナ、ひらがな、そしてアニメまで。2020年の東京オリンピックを前に、日本の文化がファッション業界でも注目されている理由とは一体なんなのだろうか。
パリ・ミラノコレクションでのアニメプリント
MSGMがミラノコレクションで発表したトレーナー。その正面には大きくデザインされた日本のバレーボールアニメのキャラクターがあった。
これは84年に日本で放送された「アタッカーYOU!」のキャラクター。この番組は日本だけでなくフランスやイタリアでも人気を集め、イタリアではバレーボールのプロリーグが作られるきっかけにまでなったとの逸話もある。


パリコレクションではUNDER COVER(アンダーカバー)がアニメ「魔法の天使クリィミィマミ」のキャラクターをプリントで使用した。当アニメは83年に放送が始まり、その後も長く愛され続けている。
今回のコレクションでアンダーカバーは『THE NEW WARRIORS』をテーマに置き、ショーではそれぞれがモチーフをも持つ8組のグループが登場した。
キャラクターデザインはその中の「BLOODY GEEKERS」どいうグループで使用された。ネルシャツと眼鏡など、日本のヲタク文化を彷彿とさせる装いだ。


ファストファッションでも日本語テキスト
ファストファッションブランドの今期の新作でも日本語が使用されているものが多くある。
FOREVER21では、新作映画「ジュラシック・ワールド/炎の王国」を受けてか、93年に登場した初代ジュラッシク・パークのタイトルをカタカナでデザイン。

H&Mでは色や国旗プリントで日本を表現。

ユニクロがジャンプとコラボ
先日デンマークへの初出店を決め海外事業が好調なユニクロもまた漫画雑誌「少年ジャンプ」とのコラボレーションで漫画のキャラクタープリントのTシャツを発売した。
今回のこのコラボではショッパーや広告もジャンプ一色と、ヨーロッパの街中で当ショッパーを持つ人々や地下鉄の駅にでかでかと日本の漫画キャラクターの広告が登場する光景が見られた。

2014年頃に始まったカタカナ人気
ひらがなはその丸みを帯びたフォルムから女性的な印象があり、カタカナは角張った形からクールな印象を与えるという。日本人には慣れ親しんだ文字も、外国人の視点では新鮮でオシャレに映るのだろう。
2014年にカタカナプリンとの商品を発売したことで印象に残っているのはadidas(アディダス)ではないだろうか。
アディダスオリジナルが出したこのシリーズは、カタカナと英語をそれぞれ大きな文字でボーダー状にあしらったデザイン。カラーをモノクロにすることで文字を主役にしたことがわかる。

しかしその火付け役は日本人を創業者にを持つKENZO(ケンゾー)と言われている。
更にはNIKE(ナイキ)やSTUSSY(ステューシー)、フランス老舗ブランドのCARVEN(カルヴァン)等もカタカナデザインを発表している。
当時はブランド名をカタカナで表現するだけのものがほとんどであったが、近年では日本語の文章をそのままデザインとするものも増えている。

ポップカルチャーとしての漫画
日本アニメの海外輸出は1960年代の「鉄腕アトム」からと言われている。その後も「ドラえもん」「ドラゴンボール」「ポケットモンスター」など数多くのアニメが海外で放送されてきた。
外国に行ったことがる人はそこで日本のアニメが普通に放送されていたり、キャラクターグッズが売られていることに衝撃を受けたこともあるだろう。
ましてや子供の頃から親しんでいたアニメや漫画が日本のものだとは知らずに育つ外国人も多いという。それほどアニメは世界的に受け入れられ、親しまれている。
漢字やカタカナのグラフィックが大ヒットした今、その延長で日本のポップカルチャーとして名高い「アニメ」がデザインに使用されるのは自然な流れと言えるのではないだろうか。