今年に入って、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)、Kering(ケリング)、Richemont(リシュモン)など、大手コングロマリット三社のポートフォリオ整理の動きが目立っている。

「Gucci(グッチ)」 の成長が目覚ましいケリンググループは、グッチへ依存した状態を脱却し、「Saint Laurent(サンローラン)」、「Balenciaga(バレンシアガ)」、 「Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)」、「Bottega Veneta(ボッテガ・ヴェネタ)」を加えた5つのブランドを中心に、グループ全体の業績を伸ばしていく目標を打ち立てた。

そして1月、ケリングは高級ブランドに専念するため、傘下のスポーツブランド、「Puma(プーマ)」の持ち株比率を16%に引き下げ、経営権を手した。

3月には、保有するStella McCartney(ステラ・マッカートニー)の株式50%を、デザイナーであるステラマッカートニー氏に売却し、ケリンググループから離れている。

そして先日、保有する「Christopher Kane(クリストファー・ケイン)」の株式51%をも売却する方針で同デザイナーと協議していることがあきらかになった。

また同時期に「Tomas Maier(トーマス・マイヤー)」とのパートナーシップ契約を解消することも明らかにしている。

このようにしてケリングは、グッチやバレンシアガらをはじめとしたラグジュアリーブランドに絞って注力していこうとしている姿勢がうかがえる。

関係者によると、イタリアンメンズウエアブランドの「Brioni(ブリオーニ)」やアメリカンブランド「Altuzarra(アルチュザラ)」の株式も手放すのではないかとされている。

Eコマース強化をはかるRichemont

スイスのラグジュアリーブランドグループ、Richemont(リシュモン)は、ECコマース強化戦略を強化しており、6月には、ラグジュアリーEコマースサイトの「NET-A-PORTER」「Mr Porter」「YOOX」「The Outnet」を運営するユークスネッタポルテグループを買収している。

また、「Shanghai Tang(シャンハイ・タン)」や 「Lancel(ランセル)」などを手放す一方で、1945年創業のイタリアの高級レザーブランド「セラピアン(SERAPIAN)」を買収し、よりコア事業である時計・宝飾分野への集中の姿勢が伺える。

「人」で改革をすすめるLVMH

「Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)」 をはじめ、「Dior(ディオール)」など70のブランドを傘下に収める世界最大規模のラグジュアリー企業グループのLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)も組織変革を進めている。

まず、ルイ・ヴィトンのKim Jones(キム・ジョーンズ)を「Dior Men(ディオール・メン)」へ移動させ、ルイ・ヴィトン には、新しくストリートブランドOff-White(オフホワイト) デザイナーであり、ストリート界のスターであるVirgil Abloh(ヴァージル・アブロー)をメンズのデザイナーとして起用し世間を驚かせた。

また「Dior Homme(ディオール・オム)」のKris Van Assche(クリスヴァンアッシュ)を「Berluti(ベルルッティ)」へ人事異動させてもいる。

そして、6月には「Berluti(ベルルッティ)」たAntoine Arnault(アントワーヌ・アルノー)がLVMH(の広報のトップに就任している。

また同じく6月に、エコフレンドリーなブランドとして知られていた「Edun(イードゥン)」の株式もLVMHは売却する方針を発表している。

ラグジュアリー企業グループの改革が今後どのように展開していくのか、目が離せない。