毎年6月はプライドマンスと呼ばれ、今年も多くの都市でプライドパレードが行われた。それに伴い先日NIKEなど多くのブランドがLGBTQ関連の商品をローンチした。数

ある職種・業界の中でも特にLGBTQフレンドリーな印象を持つファッショ業界。それはいったいなぜなのだろうか。
LGBTQとは

Lesbian (レズビアン=女性同性愛者)、Gay (ゲイ=男性同性愛者)、Bisexual (バイセクシャル = 両性愛者)、Transgender (トランスジェンダー = 心の性と身体の性が一致しない者)、Questioning(クエスチョニング=自身の性を特定していない者)という性的少数者の総称をいう。

LGBTQ関連商品

最近では多くのブランドがLGBTQの人々の支援を掲げており、毎年6月になると彼らのシンボルでもあるレインボーフラッグにちなんだカラフルな商品が多く発売される。

その中から一部を紹介する。

Nike(ナイキ) <Be True>

Be TrueコレクションとはLGBTQコミュニティの理念とプライドに敬意を表したデザイン。プライド運動の支援を目的として生まれたという。2012年よりスタートした当コレクション。

これまでは日本での販売は行われていなかったがついに昨年より国内での取り扱いが始まった。

今期のコレクションではLGBTQのシンボルカラーであるレインボーカラーをアウトソールなど各所にデザイン。AIR VAPORMAX PLUS(エアヴェイパーマックスプラス)、AIR MAX 270(エアマックス270)、ZOOM FLY(ズームフライ)、EPIC REACT FLYKNIT(エピックリアクトフライニット)の4つのモデルが登場した。

出典:http://kicks-bar.com/nike-betrue-2018/

Be TrueコレクションについてナイキのLGBTネットワークリーダーのロバート・ゴーマンは以下のように語った。

「私たちにとって重要なことは、人々が団結してLGBTQアスリートたちを支援している、ということがわかるようなものを作ることでした。ジムでのトレーニングやランニングの際にレインボーカラーを身につけることが、自分がより大きな組織に所属しており、LGBTの人たちとつながっている、あるいは味方であることを表現する方法になりました。今後も、BETRUEの製品には常にこの意味を表現するレインボーカラーを使っていきます」(NIKE Japanより)

American Apparel(アメリカンアパレル)< They O.K>

LGBTQフレンドリーのイメージの強いアメリカンアパレル(以下アメアパ)もまた、新たなコレクション、「They O.K」を発表した。このコレクションはアメアパのベストセラー でもある”Gay O.K” Tシャツをアップグレードさせたものだという。

このコレクション名のTheyとは、彼(He)や彼女(She)と性別を特定して呼ぶことを避けるために使用するとアメリカのAP通信が発表したもの。

以前までアメアパのPRマネージャーを務め、自身もゲイであることをカミングアウトしている稲木ジョージ氏は、過去のGENXYの取材に当ブランドのLGBTQ支援についてこのように語った。

国内ゲイナイトへの協賛を始めたのは僕が最初ですが、アメアパの本国では既にゲイコミュニティへのサポートを行っていたので、ゲイナイトへの協賛も必然かなと思っていましたね。
例えば、ファッション系イベントの「fancyHIM」や、日本最大のゲイナイト「Shangri-la」などに、「GAY OK」と書かれたパンツを来場者にプレゼントしていました。

あとは、「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」(現・レインボーリール東京)にも上映前にCMを流したり、グッズ販売もしていましたね。
日本でLGBTブームが起こる前の2012年頃だったので、今となっては新しい取り組みだったかもしれません。(GENXYより)

今でさえLGBTQについて話題に上ることが少しずつ増えてはきたが、このことは今だけのことではなく過去にもこれからの未来にも普通にあり続けることだ。

稲木氏の行ってきた事業のように、日本でのこういった働きかけもこれからさらに広まっていくであろう。

RFSLがMONKIをアパレルブランドで初めて認定

H&MグループのMONKIがスウェーデンのLGBTQ支援団体のRFSLよりアパレルブランドで初めて認定を受けた。それまでに本社の従業員は、RFSLによる3ヶ月間の教育ワークショップに参加、LGBTQの人々の受ける影響や労働条件と健康などについて学んだという。

MONKIのマネージングディレクターは、「私たちの受けたLBGTQ認定は、すべての人がより良い未来に向かう為の一歩である。」と語った。

企業の狙うレインボー消費

性的少数者の当事者やその支援者、支持者による消費行動のことを”レインボー消費”という。今や13人に1人はLGBTQ当事者と推定され、その規模は国内だけでおよそ6兆円とも言われる。

東京・有楽町にあるマルイの店舗で今年2月に行われたスーツイベントでは、トランスジェンダーの人々へ向けた取り組みが行われた。スーツは身長145~196センチまでと幅広くサイズを展開し、デザインもメンズとレディースから選び、組み合わせられるようにしたという。

また、化粧品大手の資生堂では15年からLGBTQのイベントでメーキャップやスキンケアのアドバイスを実施しているという。

このように企業のLGBTQ当事者向けの販売活動は積極的に行われ始めている。このような企業が増え、更にはmonkiのようにそこで働く当事者の人々へ向けた支援も更に進むべきである。

最近では日本でもLGBTQ関連のニュースが取り扱われるようになってきた。中でもことファッション業界においては、他業種と比べて一歩も二歩も先を行く取り組みが行われているように感じる。

それはファッション業界の重鎮と言ってもいいような有名デザイナーなどが性的少数者であることをカミングアウトしていることが関係しているように思う。イヴ・サンローランや、マーク・ジェイコブス、カール・ラガーフェルドなどは自信が同性愛者であることを公表している。

また、洋服というツールを利用して自分を表現するうちにファッション業界にたどり着いた人々もいるかもしれない。ファッションの多様性を受け入れることは様々な考えを受け入れることにも繋がる。

このようにファッションはその多様性から、人種・性別・体型などで区別せず、広い視野で人々を受け入れるきっかけになるであろう。

しかし性的少数者と呼ばれる人々は何も皆がファッションと関連した生活を送る人々ばかりではない。公務員や接客業、一般的な会社務めの者も多くいる。そのことを我々が広く理解して、社会全体で、これが決してマイノリティなことではないんだという認識を持つ必要があるのではないだろうか。