「Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)」メンズコレクションにおいて、7年間にわたりアーティスティック・ディレクターを務めてきたキム・ジョーンズが、2018AWを最後にメゾンを去った。

ルイ・ヴィトン代表取締役会長兼CEOのマイケル・バークは、キム・ジョーンズについて次のようにコメントを発表し、彼のこれまでの功績を称えた。

“キム・ジョーンズは流行を生み出すことに非常に優れた能力を持ち、彼の才能と決断力により、ルイ・ヴィトンは今日のラグジュアリーメンズウェア分野のトップブランドとして確固たる地位を確立することができました。幸運にも彼と一緒に仕事をする機会に恵まれた私たち全員が、彼の今後さらなる冒険において引き続き成功を願っています。”

出典:https://news.yahoo.co.jp/

ルイ・ヴィトンに新たな風を吹き込み、(マイケル・バーク氏の言葉を借りれば)“ラグジュアリーメンズウェア分野のトップブランドとして確固たる地位を確立”させた、キム・ジョーンズの功績を振り返ってみよう。

キム・ジョーンズとは

1979年生まれ、イギリス・ロンドン出身。

名門セントラル・セント・マーチンズを卒業し、2003年には自身の名を冠したブランド「Kim Jones(キム・ジョーンズ)」を立ち上げた。

ルイ・ヴィトンメンズコレクションへの参加は2011年3月から。自身が得意とするストリーステイストをアイテムに落とし込んだり、ナイキやシュプリームといったカジュアルなブランドとのコラボレーションも大きな話題を呼んだ。

キムのこれまでのコレクションを振り返ってみよう。

出典:VOGUE

アート・ディレクター就任後、キムが初めて手掛けた2012SSコレクション、テーマは「旅」。

冒険小説家でアーティストでもあるピーター・ビアードにインスピレーションを得て、ラフなプレッピースタイルや、マサイ族の伝統カラーを用いた鮮やかなチェックのスタイルなどを披露した。

出典:https://www.fashion-press.net/

「海」をテーマに、遊び心のきいた大人のマリンルックを披露した2013SSコレクション。

ホワイト&ネイビーのクラシックなマリンカラーに、イエローやオレンジなど色鮮やかなネオンカラーをプラス。吸湿性が高い、シルクシアサッカーという日本のファブリックも取り入れた。

出典:VOGUE

2014SSコレクションのテーマは「アメリカへの旅」。

60年代アメリカを代表するようなプレッピースタイルにはじまり、アウトドアやサブカルチャーのテイストを取り入れた多様性に富んだコレクションが、アメリカのロックバンド「REM」の曲をバックに披露された。

出典:https://www.fashion-press.net/

「デジタルな旅」をテーマに、航空写真で見るラテンアメリカの文化遺産からインスピレーションを得た2015FWコレクション

「ナスカの地上絵」の動物モチーフがあしらわれたニットをはじめ、広大な大地を連想させるアースカラーのアイテムなどが揃った。

出典:VOGUE

ミャンマーやタイ、ラオス、カンボジアなどオリエンタルなテイストが目立った2016SSコレクション

キムはそれに、アメリカンなベースボールトップやトラックパンツをミックスして、新たなスタイルを提案した。

出典:VOGUE

ショー前から大きな話題を呼んでいた「Supreme(シュプリーム)」とのコラボレーションは、2017FWコレクションにてその全貌が明らかになった。

キム自身がファンだというシュプリームとの革新的なコラボレーションは、現在の”ラグジュアリーストリート”ブームを決定づけたと言っても過言ではないだろう。

welcome back! @mrkimjones

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また、同じ2017年、藤原ヒロシ率いる「Fragment(フラグメント)」ともコラボレーションを成し遂げた。

出典:VOGUE

そして、キムのラストとなる2018FWコレクション、そのテーマは「Overview」。

山を連想させるフロアに、自然そのままの姿を映した(航空写真で映された写真が元になっている)ジャケットをはじめ、リアルなアースカラーのコレクションが披露された。

また、キム最後のショーにふさわしい豪華なゲスト、スーパーモデルのナオミ・キャンベルとケイト・モスも駆け付けた。

そして今、ルイ・ヴィトンのメンズコレクションは、キム・ジョーンズからヴァージル・アブローへと引き継がれた。キムとはまた違ったアプローチで、新たなプロジェクトを発動するであろうヴァージル率いるルイ・ヴィトンから、今後も目が離せない。