先日、歌手、デザイナー、プロデューサーとマルチに活躍中のリアーナが、イギリス版「Vogue」の2018年9月号の表紙を飾り、話題となった。
イギリス出身で90年代を代表する有名な写真家、Knick Knight(ニック ナイト)が撮影した写真、プラダのチュールドレス、自身のブランドであるSavage X Fenty(サベージ フェンティ)のボディスーツで、ゴージャスに登場したリアーナ。
そして、注目すべきメイクは、深い赤紫の鮮やかなリップに、線を描いたような細い眉毛「マイクロアイブロウ」であった。
この眉毛から真っ先にインスパイアされたのは、キッチュなトレンドが流行した90年代だ。
近年、はっきりとした太い眉がトレンドの主流であったが、このような極細眉は、再びトレンドとなるのだろうか?
マイクロアイブロウに見るファッションの歴史
アイブロウがファッションの一部として容認され、それが世に出たのは、さかのぼること1920年代からで、当時は細く下がった眉が流行しており、悲壮感漂うような表情が、セクシーとされた。
その後30年代には、女優で歌手のマレーネ・ディートリヒが、自身の眉を全部剃り、ペンシルを使って線のように細くアーチを描いたアイブロウを施し、華やかでセクシーな表情が印象的になり、センセーションを呼んだ。
その後、50年代にはマリリン・モンローや、オードリー・ヘップバーンなどが登場し、ナチュラルで意志の強い、太めなアイブロウが流行し、女性の権利がより主張されるかのようになった。
60年代には、ツイギーの登場や、マリー・クワントが流行したこともあり、スウィンギング・ロンドンと呼ばれた時代には、再ひ、細めでアーチを描いた眉に、アイメイクを強調したメイクが流行し、ファッションとアイメイクは、切っても離せないものとなった。
80年代には、マドンナが登場し、再度、太めではっきりとした眉を強調するようなメイクが流行し、メイクもファッションも派手できらびやかな方向へ。
90年代に入ると、ハリウッドスターや、ケイト・モスなどのセレブモデルを始め、こぞって角度のある細めのアイブロウが流行し、歴史が生まれた。
このように、10年から20年単位で、女性のアイブロウは流行の変化を繰り返すように遂げていったのである。
象徴的なトレンドが生まれた90年代からリバイバルまで
長い歴史の中で、細いアイブロウが流行し、それが最もメディアに露出し、人々の記憶に新しいのは90年代である。
イギリスでは、スパイス・ガールズ、グウェン・ステファニーなどの人気歌手が細めで角度のある眉で登場した他、マドンナも80年代の太眉から一転し、細めのアイブロウに変更した。
アメリカでも、ドリュー・バリモアやグウィネス・パルトローなどハリウッドセレブを中心に時代の先端をメディアがファッショントレンドとして報じた。
日本でも、アムラーを始めとするギャルファッションが流行し、世界的に、細眉は流行の顔を象徴するものだった。
一方、2000年代に入ると、それと反するようにナチュラルで、太めの眉が流行し、色も黒く濃いものへと、より眉を目立たせるようなメイクへとトレンドが徐々に変化していった。
それに伴い、ファッションやアイメイクだけでなく、人々のライフスタイルもナチュラル思考へと一転していったように見られる。
長い歴史の中で、女性のアイブロウは時代の表情に合わせ、常に流行を繰り返すように変化してきた。
90年代ファッションがリバイバルとしてトレンドを迎えている中、細いアイブロウの流行のカムバックはどこまで期待されるのだろうか。
リアーナという、いわば現代を代表する女性像が、マイクロアイブロウのメイクで登場し、どこまで人々に影響を与えるのだろうか。
細眉が流行した90年代から30年後を迎える2020年には、マイクロアイブロウのリバイバルはどこまで流行として受け入れられていくのか、女性像はどのように変化していくのか、今後も注目していきたい。