ゴシック&ロリータを専門とする中古品取扱いショップ「Maiden Clothing(メイデンクロージング)」は、海外向けECサイト「ZENMARKETPLACE(ゼンマーケットプレイス)」を通して海外販売を開始した事を発表した。
日本発祥でありながら西洋文化を思わせる、独特なスタイルのゴシック&ロリータ(以下ゴスロリ)ファッションは、海外の人々にどう捉えられているのだろうか。
海外進出を決めた「メイデンクロージング」とその販路となる「ゼンマーケットプレイス」、そして海外におけるゴスロリファッション事情について紹介したい。
ゴシック&ロリータ(通称ゴスロリ)とは?

ロリータ・ファッションのジャンルのひとつであり、本来ならば異なる“ゴシック”と“ロリータ”を掛け合わせたファッションスタイル、及びサブカルチャーを指して使われる言葉。ロココスタイルやヴィクトリア朝時代など西洋の文化を取り入れた、日本発祥のスタイルである。
元祖ゴシック&ロリータを自認し、『ゴスロリの女王』とも呼ばれる宝野アリカは、その外見的特徴について
黒を基調とした、レース、フリル、リボン、に飾られた華美な洋服、スカートはパニエで脹らませ、靴は編み上げのブーツや厚底のワンストラップシューズ。髪は長く、ヘアスタイルの理想は縦ロールで、リボンやヘッドドレスで飾る。装いは黒だけでなく真っ白でもゴブラン織り風の花模様でもよい。少年の場合は、主に黒で、小公子風のスーツやパンキッシュな革素材など。東京コレクションにも参加するようなデザイナーの作るものならなおよし、ヴィヴィアン・ウエストウッドは高価だが憧れのブランド、云々。
出典:Wikipedia
と述べている。
ゴシック&ロリータ古着店「Maiden Clothing(メイデンクロージング)」

ヴィジュアル系・V-ROCKの買取り販売専門店「PURE SOUND(ピュアサウンド)」が運営する、ロリータ・ゴスロリ・パンクファッションのアイテムを専門とする中古品取扱いショップ「Maiden Clothing(メイデンクロージング)」。
インターネット店舗の他に、大阪(アメリカ村)・東京(西新宿)に店舗を構えている。
「BABY,THE STARS SHINEBRIGHT(ベイビー・ザ・スターズ・シャイン・ブライト)」、「MILK(ミルク)」、「Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)」など人気ブランドを幅広く取りそろえ、中古品取扱いショップならではの希少なアイテムが手に入るのも魅力。
ゴスロリファッションイベントも積極的に開催・参加しており、国内外のゴスロリ愛好家から親しまれている。
「ZENMARKETPLACE(ゼンマーケットプレイス)」とは?
今回、「メイデンクロージング」が海外販売への販路に選んだ「ゼンマーケットプレイス」は、商品を全世界に向けて販売する事ができるモール型のオンラインショッピングサイト。
販売代行で世界135ヶ国に発送実績を持ち、英語・フランス語・スペイン語・中国語など8ヶ国語に対応、対応している通貨は計16通貨にも及ぶ。
「メイデンクロージング」は、「ゼンマーケットプレイス」に商品の販売及び、インバウンドで来客した外国人観光客向けのチラシ作成や、Youtuberへのインフルエンサーマーケティングを依頼。
ゴスロリファッション&メイクで人気を集める海外インスタグラマー(@shirozumi)にインフルエンサーマーケティングの依頼をしている事も発表した。
海外におけるゴスロリ事情
近年「クールジャパン」や「カワイイジャパン」の影響で、日本のサブカルチャーが海外に深く浸透している。その中でも、“日本が生んだ西洋テイストのストリートファッション”であるゴスロリは、ユニークなコンセプトと見た目のインパクトもあり、海外の人々から大きな注目を集めている。
アメリカやメキシコ、中国など様々な地域にゴスロリ愛好者はいるが、中でもヨーロッパは、特にゴスロリ人気の高い地といえるだろう。
1995年の開催以降年々人気を増し、現在ではヨーロッパ最大の日本文化の総合博覧会となった「Japan Expo(ジャパンエキスポ)」では、2007年以前は漫画やアニメ、伝統文化が大半だったものの、2007年以降ゴスロリブランドを含む原宿系ブランドがファッションショーを開催。その動員規模はパリコレを超えるとも言われている。

こうした波を受けて、ゴスロリブランドも国外マーケットを視野に入れはじめた。
2014年には、ロリータブランド「Angelic Pretty(アンジェリックプリティ)」と原宿ゴスロリファッションブランドの老舗「PUTUMAYO(プトマヨ)」が手を組み、ジャパンエキスポ開催時期にあわせて、ゴスロリ愛好者が集まり交流を楽しむ“Tea Party(お茶会)”をパリで開催。
フランス以外にもイギリス、オランダ、中国など様々な国からゴスロリ愛好者達が集まった。
その後「Angelic Pretty(アンジェリックプリティ)」は2016年パリに旗艦店をオープンさせ、毎年ジャパンエキスポの時期にはお茶会を開催。
今年7月には、5つ星高級ホテル「Ritz Paris」にてパリ店オープン2周年を祝う「Angelic Pretty PARIS 2nd Year Anniversary Tea Party」を開催した。


Tea Party2017 出典:Angelic Pretty公式サイトより
実店舗を持たない「メイデンクロージング」の強み
海外において人気が高まっているように見えるゴスロリ文化だが、実店舗を構え売り上げを継続させるのは容易ではない。
海外進出を果たした「BABY,THE STARS SHINEBRIGHT(ベイビー・ザ・スターズ・シャイン・ブライト)」や「PUTUMAYO(プトマヨ)」など、人気ブランドが相次いで閉店しているのが実情だ。
そんな中、「メイデンクロージング」は現代の若者の主流であるネットショッピングに目を付け、(しかも同時に何か国もの)海外進出を果たした。
通常の洋服に比べて価格が高いゴスロリブランドのファッションが、中古という理由で安く買えるのも、ゴスロリを支持する10代~20代からすると魅力のひとつと言えるだろう。
「メイデンクロージング」を着用する海外コスプレイヤー :Instagram
「メイデンクロージング」の挑戦はまだはじまったばかりだ。日本が生んだゴスロリ文化は、ネットショッピングを通じて世界中でさらなる広がりを見せるのか、今後の動きに注目したい。