先日、9月13日〜18日で開催された、2019S/S ロンドンファッションウィーク。
ロンドンは他都市に比べ、ストリート色が強く、若手デザイナーの勢いが強いコレクションだ。
今回もこのコレクションから、いくつかの、素晴らしく若き才能たちが発掘された。
今後、世界や日本でも要注目されるであろう、新進ブランド、デザイーナーの詳細に迫る。
クイーンも支援する若き才能 Richard Quinn
Richard Quinn(リチャード・クイン)は、2016年にセントラル・セント・マーチンズを卒業したばかりの現在28歳の若手デザイナーだ。
同校にてプリントとクチュールを学んだリチャードは、卒業と同時に自身のブランドを立ち上げており、大胆で鮮やかなプリント使いに早くも定評がある注目のブランドだ。
今回、彼のブランドが注目された背景には、英国エリザベス女王が大きく関係している。
リチャードは今回、毎年英国内の才能あふれる若きファッションデザイナーへ授与される、英国デザイン賞のエリザベス2世賞を受賞している。
その事もあって、今までファッションショーに出席をした事が無かったエリザベス女王がリチャードのショーへ出席し、米VOGUE編集長のアナ・ウィンターと並んで、フロント・ロウへと座った。
この事は、ロイヤルブランドとされているErdem、Roksanda、Burberryなどのコレクションには参加せず、女王が唯一参加したコレクションとして、英国内外から大きく注目された。
リチャードは獲得した賞はこれだけでなく、過去2017年にもH&Mデザインアワードを授与し、オリジナルプリントのラインを発表している。
今回最も言っていいほど、注目された彼のコレクションは、バイヤーからの評価も高く、既に英国の老舗デパートのLiberty(リバティ)や、Dover Street Market(ドーバー ストリート マーケット)、10 Corso Como(コルソコモ)など、名高いショップ での展開が決まっている。
サウスロンドン出身の移民二世デザイナー Asai
ロンドンファッションウィークの中では、若手デザイナーを支援するFashion East(ファッション イースト)が新進デザイナーを3組選出し、キャットウォークへの機会が与えられる。
サウスロンドン出身のファッションデザイナーA Sai Ta(ア サイ タ)はその内の一人だ。
The RowとYeezyでキャリアを積んだ後、2017年にファッション イーストの支援を受け、自身のブランドAsai(アサイ)をスタートさせている。
イギリス ー中国ーベトナムと、彼自身のアイデンティティを象徴するかのような、それぞれ異なった国の伝統や歴史を払拭する、精巧でボリューム感のあるデザインが注目を集めている。
今回のコレクションでも、軍服を解体したようなカモフラージュプリントのデザインの服、弾丸で撃たれたような穴の空いた服、銀糸やドラゴンモチーフ等、オリエンタルな要素が強いコレクションなった。
ロンドンに生まれ、アジア人の両親の元に育った移民2世の彼ならではの独特のセンスの大胆なアイディアは、今若手デザイナーの中でも注目度が高い。
インディアンアイデンティーに迫る女性デザイナー Supriya Lele
今回キャットウォークには出演せず、プレゼンテーション形式でコレクションを発表したSupriya Lele(スプリヤ レイ)。
2016年にロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業した彼女は、インド人の親を持つ、インディアン系イギリス人だ。
彼女も過去にファッション イーストの支援を受けた若手デザイナーの一人で、今回のプレゼンテーションがソロとしての初の発表となり、注目を集めている。
彼女の強みは、インドとイギリスというアイデンティや相違に迫る、伝統を追求した構築的なデザインだ。
インドの伝統的なドレスであるサリーにヒントを得、それに現代的な仕立てを組み合わせたドレスや、ドレープやダーツ使いは、アジアのオリエンタルと、イギリスの伝統的な要素が上手くマッチしている。
今回のコレクションでもサリーにヒントを得たシルエットのネオンカラーでトランスペアレントのドレスが多く展開されている。
それらとコーディネートされたのは、同じくインドの男性からヒントを得たパンツとのスポーティーな組み合わせで、ストリート色が強いロンドンを上手く表している。
今回のロンドンファッションウィークでも、多くのデザイナー、才能が発掘された。
Richard Quinnの受賞にも見られるように、イギリスはファッションを文化的なものと位置づけ、国を挙げて支援している。
今はまだ芽が出ていない若きデザイナーたちへも、希望を与えるものとなった今回の賞やコレクション。
今後、どのように彼らが活躍し、ファッション界へ影響を与えていくのか、今後も注目していきたい。