
いま、時代に新しい波を起こすアーティストやクリエイターの"内側"に踏み込む連載企画「NEW WAVE, NEXT CORE」
彼ら彼女らがどのような景色を見て、何に揺さぶられ、どのような感覚を軸に世界を捉えているのか――その中心へと迫っていく。
流行やムーブメントは、常にひとりの"個"から始まる。次の潮流をつくる表現者のCOREには何が宿っているのか。その起点を探りながら、これから生まれる新しい波の輪郭を読者とともに見つめていきたい。
第9回目に登場するのは、LDH発の3人組ガールズグループ、SWEET REVENGE。 ギニアとオランダにルーツを持つAGNES、オランダ出身のLARISSA、東京出身のASAMI――異なる国籍、文化、言語が交差するその場所から、ひとつの音楽が生まれている。 "甘い復讐"という矛盾をはらんだグループ名のように、彼女たちの表現には、柔らかさと強さが同居している。
そのCOREには何が息づいているのか。3人の言葉から、その輪郭を辿っていく。

AGNES
――まずは自己紹介をお願いします。
AGNESです。27歳です。 父はギニア出身、母はオランダ出身で2つの文化、2つの宗教の中で育ちましたが、どちらか一方を選ばなくていいと両親が教えてくれて。
2つの世界を同時に生きられることが、ずっと私の誇りです。
――音楽との関わりはいつから?
物心ついた頃からずっと、音楽が身の回りにありました。父、姉、弟、家族全員がミュージシャンなので。
歌うこと、踊ること、曲を書くこと。絵を描くこと、何かをつくること。自分自身のことを表現できるクリエイティブなことが大好きです。
――ファッションスタイルについて教えてください。
ファッションは、自分を表現するクリエイティブな手段だと思っています。
小学生の頃から自分でコーディネートを考えて、ネイルをして、自分らしさを表現するのが好きでした。
最近は90年代スタイルに強くインスパイアされていて。ローライズのフレアジーンズ、バギーなクロップトップ、プリントや鮮やかなカラーのアイテムが特に好きです。
実は黒をほとんど持っていなくて、3人で黒を合わせるときはスタイリストさんに借りているくらいです(笑)。
「これ、くるな」と思うもの
――今、"NEW WAVE"の兆しを感じているものはありますか?
ソーシャルメディアのおかげで、世界は本当に小さくなりました。どこかで何かが起きていれば、すぐに届く時代になって。
そこで強く感じるのは、若い世代が自分の文化やルーツをもっとオープンに、誇りを持って表現するようになってきているということです。
バッド・バニーさんがスーパーボウルで自分のルーツと文化を全力で体現した瞬間がありましたよね。あれを見て、"これだ"と思いました。
自分がどこから来たのかを隠すのではなく、むしろそれを力に変えてステージに立つ。そういう在り方がこれからもっと広がっていくと思っています。
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COREにある3つのキーワード
――AGNESさんの"CORE"を表す3つのキーワードを教えてください。
1つ目はクリエイティビティです。
そのルーツは、やっぱり家族にあります。父にギターを教えてもらったり、アフリカの伝統楽器・コラを紹介してもらったり。
コラは西アフリカの弦楽器で"アフリカン・ハープ"とも呼ばれる、とても美しい音色を持つ楽器なんですが、父から学んで、そこから自分なりの表現を探していきました。
ーーAGNESさんにとって、クリエイティビティとはどういう存在でか。
10代の頃、気持ちをうまく言葉にできない時期がありました。でも曲を書くことで心が安らいで、本来の自分をちゃんと表現できた。だからクリエイティビティは自分自身やその時の気持ちを表すことができるものだと考えています。
今もこれからも、音楽を通じて自分を表現し続けたいし、もっと高いレベルでそれを届けていきたいです。
2つ目はパッションです。
どんな状況でも、自分のエネルギーとパッションで周りを明るくしたい。そういう気持ちがずっとあります。 人生において夢を追いかけることが、私にとって最も大切なこと。
そのパッションを持って、これからもメンバーと一緒に夢を追い続けていきたいと思っています。
3つ目は、自分の意志を貫くことです。
2つの異なる文化の中で育って、さまざまなインスピレーションを受けてきたぶん、"自分のアイデンティティはどこにあるのか"を探し続けてきました。
どの文化に属するかで考えるのではなく、自分自身が何者であるのかを追い求めること。強い軸と意志がなければ、夢を追い続けることも難しい。
だから、自分のやりたいことに忠実であること、自分自身を理解して貫くこと――それを、これからつくっていくものの中で見せていけたらと思っています。
次に起こしたい波について
――これからどんな"波"を起こしたいですか?
私は複数の文化を背景に持っていて、それぞれからインスピレーションを受けて今ここに立っています。
世界中の人たちに私たちを見てもらって、"自分らしくあっていいんだ"と思ってほしい。自分の文化や背景を誇りにして、夢を追いかけることを恐れないでほしい。
メンバーに出会って7年間、ずっと信念を持って継続し続けてきました。でも、まだ始まったばかりだと思っています。
マルチカルチャリズムの体現者として、いろんなコミュニティや背景を持つ人たちへ希望を与えたいです。

LARISSA
――まず自己紹介をお願いします。
LARISSAです。23歳です。 メイクとファッション、ピンクとキラキラが大好きです。なので、フェミニンなスタイルが好きで、自分自身の性格にもそれが現れていると思っています。
――ファッションスタイルについて聞かせてください。
マキシマリストですね。色も、キラキラも、派手なものが大好きで。 ただ、全てを盛るんじゃなくて、ポイントポイントで取り入れることが好きです。
普段のベースはオールブラックが多いんですけど、そこにキラキラの靴やファーなど、ポイントになるアイテムをひとつ合わせたり。
好きなものを詰め込みながらも、バランスを大事にしています。
「これ、くるな」と思うもの
――今、"NEW WAVE"の兆しを感じているものはありますか?
1つ目は、文化の境界が曖昧になっていくことです。
私とAGNESはオランダ出身ですが、今J-POPをやっています。
日本語と英語を混ぜながら歌っている。そういうことがもう当たり前になってきていて、これからさらに増えていくと思う。どこの音楽かという定義が曖昧になっていく感覚があります。
2つ目は、不完全さの魅力です。
私、完璧主義なところがあって。でもAGNESとASAMIが"完璧じゃなくても心配しなくて大丈夫だよ"と教えてくれます。
最近、完成したものよりも、そこに至るプロセスにも注目する人が増えてきている気がして。リハーサルの失敗とか、間違えて笑っているシーンとか。そういう不完全さの中にこそ、人の本当の魅力が宿るんじゃないかなって。
これからは、完璧じゃない部分も含めた“人間らしさ”が、より大事にされていく気がします。

COREにある3つのキーワード
――LARISSAさんの"CORE"を表す3つのキーワードを教えてください。
1つ目と2つ目は、「かわいい」と「フェミニン」です。
ピンクやキラキラしたもの、いわゆる“かわいい”ものが昔からずっと好きで、それがそのまま自分の性格にも繋がっていると思います。
ただ見た目がガーリーというより、考え方や興味、行動の選び方まで、自然と“フェミニン”な方向に惹かれていく感覚があって。
メイクやファッションはもちろん、纏っている空気感も含めて、自分の中ではすべてが繋がっています。
周りからも、ハッピーでムードメーカーっぽいと言われることが多くて、そういう明るさや素直さも含めて、自分の“かわいさ”の一部なのかなと思っています。
ただ、“かわいらしい”だけではなくて、セクシーさや芯の強さも含めたものとして、自分の中ではフェミニンを捉えています。
3つ目はギャップです。
外でいる私は、賑やかで明るくて、ハッピーなオーラ全開なんですけど(笑)、本当の自分をさらけ出せる人は、数人しかいないんです。
AGNESとASAMIといる時は、完璧じゃなくていい自分でいられる。それがすごく心地よくて。内と外の違いを持っていること自体が、自分らしさのひとつだと思っています。
SWEET REVENGEというグループ名も、"SWEET"と"REVENGE"という対照的な要素をあわせ持っていて、そういう二面性は自分たちのコアにも近いものだと感じています。
次に起こしたい波について
――これからどんな"波"を起こしたいですか?
SWEET REVENGEの3人は、それぞれ全然違う性格で、好きなものも違う。でも3人が集まると、ひとつの強いグループになります。
ファンの皆さんが3人を見たとき、どこかひとりに自分を重ねてくれたら嬉しい。それぞれの誰かの中に自分がいると気づいてもらえたら。
自分らしく夢を追いかける姿を見せていけたらいいなと思います。

ASAMI
――まず自己紹介をお願いします。
SWEET REVENGEのASAMIです。東京出身です。 グループの中では日本人として、日本のカルチャーを2人にも、見てくださっている方にも伝えられたらと思いながら活動しています。
――英語がとても自然ですよね。
3歳からインターナショナルスクールに通っていたので、英語の方が表現しやすいというか、実は英語の方が素の自分に近いんです(笑)。
やっと最近、日本語もちゃんと使えるようになってきたなって思い始めました。
――ファッションスタイルについて教えてください。
めちゃくちゃストリートファッションが好きで、体のラインが見えなくなるくらいダボっとした服が好きです。大きめのパーカーとカーゴパンツが基本で、スニーカーも集めています。
――2人と出会って変化はありましたか?
LARISSAとAGNESと出会ってから、女性らしいファッションも覚えました。オランダってタイトで女性らしいスタイルが多くて、2人の影響でそういう服も着るようになって。
今はストリートをベースにしつつ、幅が広がった感じですね。
「これ、くるな」と思うもの
――今、"NEW WAVE"の兆しを感じているアーティストやカルチャーはありますか?
Carpet Manというアーティストです。全身カーペットで覆われていて、本当に頭の先まで(笑)。
でも楽曲がすごくおしゃれで、R&Bとカントリーが混ざったような独特のサウンドで。今UKで注目を集めていて、個人的に一番気になっているアーティストです。

COREにある3つのキーワード
――ASAMIさんの"CORE"を表す3つのキーワードを教えてください。
1つ目はフィーリング、感覚を大切にすることです。
結構感覚派なので、興味を持てないとできないタイプで。でも、逆に興味があるものに関しては結構のめり込んじゃうタイプかもしれないです。
顔に出ちゃうこともよく言われていて、お母さんにもよく怒られています(笑)。
でも、わかりやすい方がいいじゃないですか、と自分では思っていますね。自分の感覚には素直でいたいです。
2つ目は型にはまらないことです。
日本人だけどインターナショナルスクール育ちで、自分のアイデンティティが何なんだろうっていうのが、最近まで正直ありました。
でもやっと最近、"何にも型にはまらない感じもいいんだ"と思えるようになってきて。それが自分らしさなんじゃないかなって。
3つ目はブラックジョークです。
ちょっとダークなユーモアが好きで(笑)。自分の辛い経験も笑いに変えてしまうような感覚があって。 最初LARISSAはピュアでかわいいタイプなので、え?みたいな顔をされることが何回かありました(笑)。
でも最近はだんだん無視されるようになってきた、という意味で、やっと慣れてもらえたかなと(笑)。
次に起こしたい波について
――これからどんな"波"を起こしたいですか?
最近、ありのままでいることの大切さをすごく実感しています。 日本語って複雑で言い回しも多いし、インター育ちの私にとっては正直まだ難しい部分もあって。
でも最近は、片言でも伝わることはあるから、このまま自分らしくやっていこうと思えるようになってきました。
グループの中で日本人としての自分をちゃんと活かしながら、でも日本的な"遠慮"や"型"にはまりすぎず、正直に、まっすぐに表現し続けていきたいです。
その姿を見せること自体が、これから自分たちが起こしていきたい波なんじゃないかなと思います。

AGNES、LARISSA、ASAMI。 3人の言葉を辿っていくと、それぞれがまったく異なる出発点から、"自分のままで表現する"という一点へと向かっていることに気づく。
複数のルーツを誇りに変えて立つAGNES。フェミニンの中に自分らしさを見つけていくLARISSA。型にはまらず、感覚に正直であり続けるASAMI。
7年という時間を重ねながら、夢を追い続けてきた3人。それぞれの個性が交わることで、SWEETとREVENGEという相反する要素を内包した"SWEET REVENGE"という存在が、少しずつ輪郭を帯びていく。
どのジャンルにも定義されない、自由で新しいスタイル。その在り方自体が、これからの時代にどんな波を生み出していくのか。
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AGNES着用
フロントの編み上げリボンが印象的なトップス。
柔らかなピンクカラーがキュートなムードを引き立てつつ、視線を集めるデザインに仕上げている。

LALISSA着用
大胆なバックスタイルが特徴的なトップス。
首元を留めるミニベルトがさりげないアクセントとなり、全体にエッジを効かせている。

ASAMI着用
アシンメトリーなデザインが印象的なトップス。
フロントに配されたボタンディテールは開閉が可能で、スタイリングに合わせて表情を変えられるのも魅力のひとつ。

ブランド:LSOUL
LSOUL(エルソル)は、確かなデザインと品質で存在感を放つデザインアパレルブランド。
ファッションへの強い情熱を持つクリエイターたちが集い、実験的なアイデアをかたちにする場として、独自のクリエイションを発信している。
自由な精神と個性を軸に、身体のラインを美しく引き立てるシルエットと、トレンドを取り入れたデザインが特徴。
「フェミニンでありながら個性的」であることを掲げ、女性の持つ多面的な魅力を引き出すスタイルを提案している。

Featured Artist:SWEET REVENGE
Brand:LSOUL
Photographer:Rikuto Uchiumi
Video/Video edit : yuma goto / NANA
Stylist:Yuki Yamane[The VOICE]
Make : MIYABI
Hair:千宙
Direction/Text:minami

