
加速する街東京で、消えない「個」を追う連載企画 「Why are you in Tokyo?」
刺激とスピードに満ちた街、東京。絶え間ない変化の中で、人々は自分を磨き、強く、美しく振る舞う。
けれどその内側には、外からは見えない葛藤や悩み、不格好でリアルな感情、そして純粋な想いが隠れている。
表現者たちは、なぜ東京を選び、ここで活動を続けるのか。会話を通して、都心で生きる若者たちの飾らない素顔を切り取る。
今回登場するのはモデル、そしてDJとして東京のナイトカルチャーの最前線をハイスピードで駆け抜ける、刈込 るちあ。
三軒茶屋から二子玉川。緑豊かな東京ローカルで育まれた、圧倒的にポジティブなギャルマインドを武器に持つ彼女。一見すると、都市の華やかな刺激を器用にサバイブしているように見えるが、その瞳は驚くほど鋭く、街の歪みや「分かってる風の人たち」への違和感を見つめている。
「正解を選ぶのではなく、選んだ道を正解にする」という揺るぎない自信。
流行に消費されることを拒み、自らのバイブスで新しい正解を作り出し続ける、彼女のリアルに迫る。

―― 現在の活動について教えてください。
PUMPマネジメントに所属して、モデルとDJをしています。モデルも雑誌, ルックブック, ランウェイ, 広告までジャンルを絞らずマルチにやらせてもらっていて。DJとしても最近は東京だけじゃなくて、地方や海外のクラブに呼んでもらえる機会が増えてきました。
―― 今の活動をするに至った経緯を教えてください。
うちは家族や親戚に芸能関係の人やヘアメイクさんが多くて、昔からその世界がすぐ近くにあったんです。だから「モデルになりたい」っていう憧れじゃなくて、「将来は自分もここに成る(入る)んだ」って当たり前に思って生きてきました。きっかけっていうか、この環境に生まれたこと自体がスタートですね。
―― その後、現在の事務所に所属されたのはどういった流れだったのでしょう。
高校の時にいた事務所を辞めて大学に進んだんですけど、コロナ禍が始まっちゃって。オンライン授業ばかりで誰にも会えないし、全然楽しくなくて1年で辞めちゃったんです。
親から「フリーターは辞めて」って言われて、それなら一番入りたい事務所に突撃しようと思って。当時は募集してなかったんですけど、どうしても入りたかったから直接電話をかけて、無理やりメールでポートフォリオを送りつけて(お送りして)面接に行きました。
拾ってくれた事務所の社長には本当に感謝しているし、一生ここにいるって決めています。

―― るちあさんは東京(三軒茶屋〜二子玉川エリア)のご出身だそうですが、ご自身にとってこの街はどんな場所ですか?
縦のエリアはちょっと管轄外なんですけど(笑)、三茶から二子玉までの横のエリアがずっと好きで、今でも地元の子たちとよく飲んでます。
東京の中でも自然が多いし、普通に地元で働いてる子もいるから、歩いてて「あ、やっほー」って言い合えるローカルな距離感が最高なんです。そんなあったかいローカルのすぐ隣に、地方からいろんな子たちが集まって、役割もカルチャーも「雑多」に混ざり合っている。
この絶妙なバランスが、私にとっての東京ですね。
―― 東京という街を「一言」で表すなら?
一言で言ったら、圧倒的に「ハイスピード」です。ファッションも、音楽も、ゴシップも、一週間前までみんながあれだけ熱狂してたものが一瞬で過去になって、一ヶ月後には綺麗さっぱり忘れてまた新しい何かに飛びついてる。街全体が常に忙しない。
地方に行くと、クラブが1つしかなくてハシゴもできなくて「パラレルワールドに来ちゃったのかな?」ってびっくりするんですけど、渋谷なら一晩に小箱も含めて10個以上パーティーが動いていて、24時間、年末でも一生遊べる。この「一つのものに執着しなくて、常に何かが生まれ変わり続けているハイスピード感」が、一番好きなんです。
―― そもそも、DJを始めたのはどういったキッカケだったのですか?
オカモトレイジくんに「DJやったことある?やりたい?じゃあやろっか」って、LINEの5ラリーくらいで誘われて始めて3年くらいなんですけど、本当に現場でたくさんの繋がりが増えました。ただ、東京のパーティーってフライヤーのメンツを見ただけで「あ、この界隈のパーティーね」って固定化されちゃう部分もあって。
それが理由で遊びにくい子がいるなら勿体ないから、私は「人類みんなDJ化計画」を掲げています(笑)。
みんながカジュアルにDJを始めて、フライヤーに知らない名前がどんどん並ぶようになれば、偏見や境界線がなくなってもっと自由に遊べるようになる。そんなフラットさも、この街ならノリでさっと始められる面白さだと思います。

―― 東京のナイトカルチャーのど真ん中にいるるちあさんから見て、この街の「ネガティブな部分」ってどこだと思いますか?
東京出身の子たちに対して思うのは、みんな「チルすぎる」ってことです。焦ってなさすぎるというか、「まあどうにかなるっしょ」みたいな子が多くて。
実際、東京にいるとどうにかなっちゃうからなんですけど……。チルなのもかっこいいけど、私はもっと切磋琢磨したい。「みんなでもっとかまし上げようぜ!」っていう熱いバイブスを持って色々なことをやりたいなと思います。
―― モデルやDJとして活動していく中で、理不尽に感じたり「喰らう」瞬間はありますか?
時々、この仕事を「楽なんでしょ」って、リスペクトのない態度で舐めて来られることがあって、自分の気分が落ちてる時とかにそれを言われるとやっぱり喰らいます。
カメラマンさんだって高い機材を使って、その後の大変なエディット(編集)をして作品を作っている。裏で何がどうなっているのかわからないのに「あれまだあがんないの?」とか言っちゃうような、分かってる風の人が私はすごく苦手です。
自分は絶対にそうなりたくない。人に対しても、初心を忘れずに謙虚でいることは何より大事にしています。

―― 先ほど「仕事」としての葛藤もありましたが、るちあさんにとって表現を続けるモチベーションは何でしょう。
結局、「楽しむこと」が絶対に一番大事なんですよ。楽しんでる姿を見て「この子をモデルとして使いたい」って思ってもらえるわけだし。
でも、これってすごく難しくて、安泰をとってあんま好きじゃない仕事をするか、不安定をとって「好き」をするかって、全員が通る道だと思うんです。私は楽しい気持ちがないと自分として死んじゃう気がするから、不安定でも「好き」を選びました。
だからこそ、デスクワークとかを割り切ってやってる公務員やサラリーマンの友達もマジでかっこいいと思うし、心からリスペクトしてます。週に2日しかない貴重な休みを私との遊びに使ってくれるから、こっちも全力で楽しませなきゃって思う。
―― クラブシーンに飛び込むのが怖いと感じている上京したての人たちへ、アドバイスを送るなら?
よくインスタのDMで「1人でクラブに行くのが怖い」「どんな服で行けばいいかわからない」という相談をもらいます。
でも、クラブには本当にいろんな人がいるから。この前もクラブですごくお尻を振って狂ったように踊っている子がいて、話してみたら小学校の先生だったりして最高に面白かった(笑)。見た目で判断しちゃいけないし、私も最初はそわそわしながら、喫煙所の会話で友達を作りました。
遊び続けていれば、自分の肌感覚で好きな箱やコミュニティが絶対に分かってくるから、怖がらずに一度飛び込んでみて欲しいです。
―― るちあさんが、人生において最も大切にしているマインドを教えてください。
私の人生の目標は、誰かの記憶に、その人が棺桶に入る最後の瞬間まで 1ミリでも残り続ける存在になることです。高校生のときに思い悩んで見つけた「正解を選ぶじゃなくて、選んだ道を正解にする」って言葉をずっと大事にしています。
不安定な世界で、「こっちで良かったのかな」って悩むとどんどん落ちちゃう。だからこそ、自分が選んだ道を「これが正解っしょ!」と100%信じ切る。明日や来月のことなんて誰にも分からないけれど、自分を信じる自信さえなくさなければ、マジで人生、マジで勝手に楽しんでいけると思っています。

東京ローカルで育ったフラットなギャルマインドのまま、都市の夜をハイスピードに泳ぐ刈込るちあ。
24時間いつでもカルチャーが生まれ、塗り替えられていく東京は、彼女にとって最も動きやすい環境だ。しかし、その視線は街の歪みもどこか冷ややかに見つめている。チルに甘んじる周囲に「もっとかまし上げようぜ」と火をつけ、「分かってる風の人」にはリスペクトと謙虚さを持って静かに一線を画す。
求めるのは、安泰な安定ではなく、自分が死なないための「不安定な好き」。
「選んだ道を正解にする」という揺るぎない自信をベースに、彼女は流行に消費されることなく、自身のバイブスだけで街を踊らせていく。
今回彼女が着用したのは、韓国ブランドUUUUP
ガーリーな雰囲気にトレンド感を掛け合わせたアイテムを幅広く展開
2024年に設立され、今最注目の新鋭ブランド
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