アジア各国のファッションディレクターに、ローカルな人気スポットやその国のストリートファッション、HIP HOPの実情を、SIXTYPERCENTのブランドディレクター Nanaが探る連載企画。

感度の高いデザイナー達が集うローカルカルチャーから、アップカミングなアイコン達を探ってみよう。
今回は、タイで今一番ホットなストリートブランド「Public Culture」の創業者 Michaelに独占インタビュー。

Nana : こんにちは!ようやくお話できて光栄です!以前60magazineのインタビューに出ていただいたAdit (Paradise Youth Club) にご紹介いただきました。

Michael : お話できて光栄です。

Nana : まずはブランド紹介についてお聞きできればと思います。

Michael : Public Cultureは2015年に設立されました。実は私の最初のブランドではなくて、当時2010年からこの業界に入ったんです。大学在学中に最初のブランドを立ち上げ、前職のパートナーと別のブランドを立ち上げ、2013年に自分が作ったブランドを辞めることにしました。2013年には2つ目のブランドを作りましたね。そして、2015年になった頃、よりパワフルなコンセプトとユースカルチャーを持つブランドができないかと考えていて、そこで生まれたのがPublic Cultureです。

Nana : 先ほど、Public Cultureの前にもいくつかのブランドをやっていたとおっしゃいましたが、Michaelさんのバックグラウンドを聞いても良いですか?

Michael : 私は学生時代、グラフィックデザイナーを専攻していました。自分はファッションが好きだと気づいていたので、その時にはもう自分のブランドを作ることにしてましたね。

Nana : 学生のうちからブランドを作る人は少なかったんじゃないですか?

Michael : そうですね、私はかなり早かったです。2018年になって、今のパートナーに声をかけてもらったのですが、全体的に相性がぴったりで、一緒にブランドを作ることになりました。私と、Paradise Youth Clubの創設者としてインタビューに答えてくれたAditとは、同じ会社で勤務しています。

Nana : 設立者であるお二人の役割の違いは何ですか?

Michael : 私のパートナーであるAditは、主にクリエイティブなディレクションを担当しています。そして私は経営者側なので、基本的にはビジネスの部分を担当しています。

Nana : そうなんですか!? グラフィックデザインのスキルを持ちながら、会社を経営しているというのはとてもユニークな経歴ですね。

Michael : ブランドを経営するのは簡単ではありませんからね、バランスが必要だと思いませんか?

Nana : その通りですよね。

Michael : ブランドを所有することはビジネス経営と同じですからね。

Nana : また、シンガポールやマレーシアなど、さまざまな国で卸売りをされていますよね?

Michael : はい!実は、東京にも在庫を持っていましたyい。東京には代理店がありましたが、今は一緒に仕事をしていないですね。

Nana : ジャカルタのストリートウェアシーンについてお聞きします。 インドネシアのファッションシーンについて、何か意見や洞察をお伺いしたいです!

Michael : ジャカルタのストリートウェアは急速に成長していると思います。今では地元の人々だけでなく、世界的に見ても、かなり確立されたポジションにいるのではないでしょうか。

Nana : ジャカルタの若い世代は、メイドインUSAを買い求めるのか、またはローカル製か、どちらを求めている傾向にあるのでしょうか?

Michael : 以前はアメリカや日本のアイテムを好んで買っていましたね。ただ今は国際的なブランドよりも地元のブランドに興味を持っていると思いますよ。

Nana : TokopediaやShopeeも起因していそうですね。

Michael : それも理由の1つにありますね。

Nana : 私は、多くのアジアを代表するデザイナーへのインタビューを通じて、アジアのファッション市場の盛り上がりという点では、インドネシアが現在のホットスポットであると考えていて。

Michael : その理由は、インドネシアのコミュニティがとても強いからだと思いますよ!

Nana : スニーカーや音楽業界との関わりもありますか?

Michael  : すべてがパッケージになっています。東京のブランドもリスペクトしていますし!

Nana : 日本の好きなブランドは何ですか?

Michael : とてもたくさんありますが…. ! Neighborhood(ネイバーフッド)とかですかね。

Nana : ところで、Public Cultureは現在実店舗をお持ちですか?

Michael : 実店舗は閉店しましたが、現在は卸売りとオンラインストアで対応しています。

Nana : Public Cultureでは、ブランドのブログを作ったり、キーパーソンにインタビューしたりしていますね。なぜこのようなプロジェクトを始めたのですか?

Michael : ブランドとは、製品を売ることだけが仕事ではないと思うからです。私たちは、ブランドに関連すると思われるもの、”ストーリーテリング”性が必要だなと。ジャカルタのファッション業界で生きていくためには、コミュニティが重要ポイントになりますから。

Nana : Public Cultureは現在、何人のスタッフがいるのですか?

Michael : 3つのブランドを運営しているので、クリエイティブチーム、マーケティング、合計で15人ほどです。

Nana : 15人で3つのブランドを同時に運営するのは大変なことですね!

Michael : そうですね(笑)それぞれのクリエイティブ・プロセスを刷り込み、それぞれのコンセプトに沿って形作っていかなければなりません。

Nana : 3つの会社で同じ時期に働いているような感じですよね。ちなみにPublic Cultureの今後の目標などはありますか?

Michael : もちろん、この業界で存在し続けるブランドであること、あとは確実に大きくあり続けるということですかね。

Nana : インドネシアに限っても、人口は日本の3倍ですからね。

Michael : そうです。だからこそ、ここにはやるべきことがたくさんあります。

Nana : インスタグラムでDMを送ったりして、商品を買おうとする人も多いのではないでしょうか?Public Cultureのウェブサイトはすべて英語で書かれていますよね。

Michael : 海外のお客様に向けて提供しているので、基本的には英語を使用しています。

Nana : 現地の人が英語のサイトを見るのは大変ではないですか?

Michael : 言語はとても一般的で、インドネシア人にとっては英語も理解しやすいものですからね!

Nana : なるほど。ちなみにPublic cultureと他のブランドとの違いはどこにあるのか知りたいです。

Michael : 活動のやり方の違いかもしれません。例えば、COVID-19の前には、ライブスクリーンプリントを行いました。お客さんがブースに来たら、グラフィックを選んで、スクリーンプリントするんです。誰でもプレイできるし、誰でもトライできる。

Nana : COVID-19の後、できればイベントを開きたいという計画はありますか?

Michael : パーティはやると思います!インドネシアでは頻繁に開かれますからね。

Nana : バンドゥン地区ではよくありそうですよね。私は2日間の滞在でインドネシアに行ったことがありますが、ジャカルタから遠すぎて行くことができませんでした・・・。

Michael : 確かに遠いですね(笑)ただ私たちの本社はジャカルタにありますから、いつでもきてください。

Nana : 最後の質問ですが、あなたのような成功したデザイナー/ファウンダーになりたいと思っているリスナーへのアドバイスをお願いします。

Michael : まずは「一貫性」と「コミットメント」です。この業界に飛び込む際には、自分のビジネスと自分の感性を一致させなければなりません。ブランドを運営するということは、デザインだけをして生産して販売するというような、思っているほど単純なことではありませんから。これは他のビジネスでも同じです。

Nana : ブランドを運営する上で、苦労したと感じたことはありますか?

Michael : たくさんあります。でも、そのような状況を経験し乗り越えてきた自負があります。当時の私は、忍耐強さを重要課題にしていましたし、これがビジネスにおいても大切なポイントで、忍耐強く超えられるビジネスこそ自分が望んでいるビジネスだと感じていますね。