アメリカのファッション卸売り/小売り企業であるNine West(ナインウェスト)が、破産手続きを進めている。
1978年創立、本社はニューヨークのホワイト・プレインズにある。
第一号店を出店したニューヨーク『9 west』57丁目からという、住所から名付けたという。
(*現在その場所は、ソロービルという大きなオフィス・ビルディングとなっている。)
主にブーツ、パンプス、サンダルなどの婦人靴を販売し、日本でもよく知られる靴屋さん。
バッグやアクセサリー・ラインも扱い、世界78ヶ国で展開されていた。

マンハッタンから消えたら、終わり
今回1.5ビリオン・ドル(約1600億円)の負債を抱え、破産に踏み出したナインウェスト。
Authentic Brandsグループという、ライセンス・カンパニーが買収する予定のようだ。
2018年1月には、経済・金融情報配信社のブルームバーグでも、ナインウェストの破産準備を発表し、最終的なファイリングの手続きが始まった。
ニューヨークの街中では、全く驚く気配もない。
それは、以前いくつかマンハッタンにあったナインウェストの店舗が無くなったから。
成功したファッションブランドは、ニューヨーク、マンハッタンの五番街やマディソン、ソーホーなどにお店を持つようになる風習があるそうだ。
これは、ある種1つのステータスとなっており、ルイ・ヴィトンや他のブランドも、決して五番街の店舗の売り上げが一番高い訳ではなく、お店は赤字と言う事も珍しくない。
しかし多くの企業が世界に向けての『宣伝やステータス』のために維持するマンハッタンから消えることは、終わりのサインだという。

消費者が離れた理由とは
今回のナインウェストの破産は、セールのしすぎや、売り上げ減少の原因はいくつかある。
しかし、一つはマーケティング戦略が、ミレニアル世代の女性に支持されていなかったこと。
2014年にソーシャルメディアで批判された、ナインウェストの広告の一つがこちら。

旦那ハンティング
・LBD (シャネルが流行らせた普段着使いのリトル・ブラック・ドレス)
・スモーキー・アイ(セクシーで大人っぽいアイ・メイク)
・ウィング・ウーマン(パーティーやナンパされるための可愛い女友達)
このキャンペーンを簡単に説明すると、「黒のドレスにスモーキー・アイメイクで、カワイイ女友達を連れて、いい男探しをしよう。そのための靴は、ナインウェストにある。」と言った宣伝。
ソーシャルメディアで公開されると、以下の様なネガティブ・コメントが殺到した。
・女は男のためにオシャレをするんじゃない。
・キャンペーンの宣伝文句が古い。
・私たちは成功やゴールを掴みたい。旦那なんていらない。
ナインウェストは、他のキャンペーン・メッセージでも、ターゲットである女性の多くをガッカリさせたとニュースになった。
ミレニアル世代の消費者は、商品のデザインや価格だけでなく、ブランドのメッセージや会社の歴史、考え方などにもソーシャルメディアから影響を受け、消費者が離れる引き金となったのではないか。