プラスサイズのパイオニアとも呼ばれる、アシュリー・グラハム。
メリハリのある身体を生かした曲線美だけでなく、自分のコンプレックスさえも隠さず内面的な魅力もあり、2016年頃からプラスサイズのモデルとして大活躍。
ドルチェ&ガッバーナ、マイケル・コース、ヴィクトリアズ・シークレットなどのコレクションにも、プラスサイズ・モデルとして起用され、フォーブス誌の2017年最も稼いだモデルトップ10入りを果たした。

背が高くて細いモデルがほとんどだった今までのファッションモデル業界に革命を起こしたと言われる彼女は、昨年$5.5ミリオン(約6億2000万円)稼いだモデルとなった。
そして、アシュリー・グラハムを始めプラスサイズのモデルを2016年ニューヨークでのコレクションからいち早く起用し、2016-2017年の売り上げを2倍に成長させたのが、ファッション・デザイナーのクリスチャン・シリア―ノだ。
クリスチャン・シリアーノ
彼は、アメリカのファッション・デザイナーをテーマとするTV番組『プロジェクト・ランウェイ』で2007年に優勝し、彼の名前で2008年にコレクションに初登場した、まだ新しいラグジュアリー・ブランドなのだ。

去年『ゴーストバスターズ』主演の180センチと、大柄の黒人女優レスリー・ジョーンズがTwitterで「誰もプレミアに着るドレスを貸してくれない」とつぶやいたコメントを見て、「僕に作らせて下さい」と名乗りを上げたのも彼だった。
クリスチャン・シリアーノは、見事に深紅の美しいドレスを提供して、一躍話題となった。
他にもSNSでプラスサイズの女性に向けて、「結婚式のために減量する必要なんてない、僕がドレスをつくる」と、様々な体型の女性達に感動を与えた。
彼は、美の多様性をドレスで証明してくれたのだ。
母親もプラスサイズだったという彼は、プラスサイズは勿論、背が低いコメンテーターや女優からも絶大な支持を受け、様々な体型のセレブリティーに魅惑のドレスを届け、世界に彼の実力を発揮した。
今年のオスカーではなんと17名の女優や著名人にドレスを作ったとして、高く評価された。
『プロジェクト・ランウェイ』というドキュメンタリーから生まれた比較的若手のデザイナー、クリスチャン・シリアーノの積極的な行動力が、彼を一流ブランドへと成功させたのだ。

なぜラグジュアリー・ブランドにとってリスクの高いプラスサイズに参入したのか?
アメリカでは、成人の70%が肥満。
プラスサイズ市場は、現在$21 Billion(約240億円以上)あるという。
しかし未だに多くのラグジュアリー・ブランドでは、ショーでプラスサイズのモデルを起用しても売り場では、幅広いサイズ展開をしていない。
理由は、コレクション用に作ったサンプル衣装のサイズに限りがある事。
そして特に商品の単価が高いラグジュアリー・ブランドでは、サイズ展開を広げて、在庫を増やしたくないという事だ。
彼はただ、どんな体型でも美しいドレスを楽しんで欲しい、どんな体型でも自信を持って欲しいと、予算オーバーで倒産する事も覚悟だったという。
彼は、ラグジュアリー・ブランドで比較的値段も高いドレスを、小さい人から大きい人まで、どんな体型にもと敢えて、サイズ展開を広げ、プラスサイズ市場参入でより多くの女性の支持を得た。

彼は、先日ニューヨークで開かれたイベントで、「プラスサイズのドレスに参入した2016年から2017年までに売り上げは2倍へ。今ではもう3倍に成長したと思う。今では売り上げの50%がプラスサイズなんだ。」と話した
ナイキも2016年ごろから、プラスサイズ向けにスポーツ・ウェアのサイズ拡大し販売をして売り上げを伸ばしている。
J.クルーも、現在人気商品に絞って『5x』までサイズ展開を広げる方針を示している。
今後どこのブランドがプラスサイズ市場に参入して成功若しくは失敗するかが注目されるだろう。