
いま、時代に新しい波を起こすアーティストやクリエイターの"内側"に踏み込む連載企画「NEW WAVE / NEXT CORE」
彼ら彼女らがどのような景色を見て、何に揺さぶられ、どのような感覚を軸に世界を捉えているのか――その中心へと迫っていく。
流行やムーブメントは、常にひとりの“個”から始まる。次の潮流をつくる表現者のCOREには何が宿っているのか。
その起点を探りながら、これから生まれる新しい波の輪郭を読者とともに見つめていきたい。
第5回目に登場するのは、ハイエナジーなギャルマインドと自身の経験から生み出される生身のスピットで注目を集めるラッパー3li¥en。
彼女は起こることすべてを自分の人生と地続きのものとして引き受け、マイク一本のラップへと変換していく。
ラッパーとしてのキャリアは始まったばかりだが、ここまで這い上がれた背景にはどのようなコアが隠れているのか。
彼女の言葉からその輪郭を紐解いていく。

―― まずは自己紹介をお願いします。
3li¥enです。ラッパーです。
―― 普段のファッションはどんな感じですか?
一言で言うなら、ギャルですね。そこにアニメとかオタクっぽい要素が混ざってる感じ。
現実的というより、ちょっと非現実的なギャルかもしれないです。
―― この企画のテーマ“NEW WAVE” 。3li¥enさんが「次に来る」と思っているものを教えてください。
2000年代のバイブスです。
トレンドって、結局ずっと回ってると思うんですよね。Y2Kが来たと思ったら、音楽も2000年代っぽい空気が戻ってきて。
だから次は、もう少しニッチなところが来るんじゃないかなって思ってます。
たとえばダンスホールやレゲトンの“進化系”が、形を変えて戻ってくるんじゃないかなって。
2000年代の、今より不便だった時代の空気感も好きで。クラブで誰も携帯触ってないとか、電話番号を紙に書いて渡すとか。
不便さが逆に新しく感じる時代が、また来てもいいなって思います。心で繋がる感じ。
今は情報が多すぎるからこそ、一回ゼロに戻るみたいな感覚が、次に来る気がしてます。

―― 3li¥enさんのCOREを表す3つのキーワードを教えてください。
1つ目は、「ハイエナジー」です。
よくポジティブギャルみたいに思われるんですけど、別にずっと前向きなわけじゃないです。でも、下がることも含めてハイエナジーやと思ってて。
下がるってことは、また上がれるってことやし、これ以上下がらんっていう地点があるのは、むしろありがたい。
人生って、ずっと上がりっぱなしやと怖くないですか?
映画でも、どん底があるから面白い。その“どんでん返し”を作れる力が、ハイエナジーやと思ってます。
死ななければ全部かすり傷。人生は何回でもやり直せる。その考えが私のベースになってますね。
―― その考え方に至ったきっかけは?
18、19歳くらいの時なんですけど、将来見据えて付き合っていた方がいて。その方からの影響が大きいですかね。
ポジティブが全てじゃないっていうのを教えてくれて。人間って弱みがあるからこそ、それが自分の強さや優しさに変わっていくってことを実感しました。
あとは、まず自分を愛さなあかんって、そこで初めて分かりました。そこからですね。「上がっていこう」って本気で思えたのは。
2つ目は「ギャル文化」です。
私にとってギャル文化は、流行やスタイルじゃなくて、生き方そのものです。
その原点にいるのが、うちのおかん。
日焼けサロンに通って、ハイビスカスをつけて、全力で遊ぶ。元気すぎて、「狙ってる?」って思うくらいの、ほんまのギャルでした。
私が初めてクラブに行ったのも、おかんと一緒で。とにかくパワフルで、生命力の塊みたいな人です。
だから私の中のギャルは、世間的なギャル像というより、完全におかん。
ネイルも長いし、持ち物は全部デコってて、そこは一切手を抜かないギャルの鏡みたいな人ですね(笑)。
そんなギャルな一面がありながら、血は繋がってない私のことを、我が子みたいに育ててくれた人でもあって。
それは本当にかっこいいなって思うし、すごく感謝してます。
だから、私のギャルのパイオニアは、おかんです。
あの人の生き方を、私はそのまま受け継いでると思います。
3つ目は「アニメ」です。
アニメは、ずっと一緒にある存在です。
プリキュアとかポケモンから入って、ジャンプ作品もめちゃくちゃ読んできました。ヒロアカとかハンター×ハンターは大好物ですね。
中学生くらいの頃は、周りがボカロを聴き始めた時期で、私もそこから一気にハマって。
正直、あの頃はボカロに、その中でも初音ミクちゃんに救われた感覚があります。
あと、アニメはエンタメとしてだけじゃなくて、生き方を教えてもらってる感覚もあって。
ヒロアカとか、何回見ても刺さるんですよ。何度でも立ち上がる姿とか、諦めない感覚とか。
家で何回も見返しながら、自分の人生にも重ねてます。
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―― 最後に、これから起こしたい“波”について教えてください。
HIPHOPの原点みたいなものを、リバイブさせたいなって思います。
マイク一本でスピットする。生の声で、自分の言葉を届ける。そのシンプルさが、もう一回評価されてほしいって思うんですよね。
若い世代だけじゃなくて、もっと上の世代も含めて、日本のHIPHOPをさらに盛り上げていけたら面白いなって。
沖縄に行った時に、過去の文化や歴史を大事にしてる姿を見て、HIPHOPもそうでいいやんって思ったんです。
今まで積み重ねてきたHIPHOPの歴史も含め、今にどう面白くリバイブさせるか。
それを自分なりに提示するのが起こしたい波やと思ってます。
―― 最新作についても教えてください。
『High Energy』はダブルミーニングで、みんなを上げるエネルギーって意味もあるし、いいエネルギーを吸い込むって意味もあります。
ずっとポジティブでいよう、じゃなくて、弱さがあるからこそ上がれるよね、っていうアルバムです。
そして、上がる時も一人じゃなく、みんなで上に行けたらいい。ギャルって、一人やと寂しいんで(笑)。誰かの背中を一押しできたら嬉しいです。

ハイエナジーとは、常に前を向くことではなく、何度下がってもそれすら糧にして立ち上がれると信じる力なのかもしれない。
ギャル、アニメ、ヒップホップ。
3li¥enのCOREを形作るそれらは、すべて彼女の人生と地続きであり、生身の言葉としてラップへと変換されている。
マイク一本で放たれるスピットは、過去へのリスペクトといまを更新し続ける意志。
彼女が起こそうとしている波は、決して懐古ではない。その振動が、どこまで広がっていくのか。
彼女の起こす波を見守りたい。
開催日:2026年2月20日(金)
開演時間:19:00 開場時間:18:00
会場:HARLEM (東京都)
東京都渋谷区円山町2−4 ドクタージーカンズビル 2F・3F
本公演は2025年12月12日にリリースされたニューアルバム『High Energy』 のリリースツアー最終公演。
『High Energy』で描いた感情やエネルギーを、今度は音源ではなく、ライブという形で直接届ける。
弱さも強さも、そのまま抱えたまま、 マイク一本で放たれる言葉と熱量が、観る側の身体と感情にどう触れるのか。
「一人で上がるんじゃなく、みんなで上に行きたい」その言葉を体現するような一夜になるはずだ。
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当日着用したのは、繊細なレース素材が印象的なリリースレースフーディーとリリスレースパンツ。
身体のラインを美しく引き立てる計算されたシルエットで、肌見せを取り入れながらも甘さに寄りすぎない、ヘルシーなムードを纏う。スタイリング次第で日常にもナイトアウトにも対応し、シンプルな装いの中に取り入れるだけで、スタイル全体に静かな個性をもたらす存在。
レイヤードにも適した一着として、幅広い着こなしを想起させる。
Fallen Angels リリスレースフーディー ¥6,649
Fallen Angels リリスレースパンツ ¥8,667
ブランド:Fallen Angels
タイ発のFallen Angels大胆で個性的なデザインに、視覚的なインパクトのある要素を加えることで独自の世界観を構築。60%で日本に初上陸し、自由で開放的なスタイルが支持を得ている。
Featured Artist: 3li¥en
Brand: Fallen Angels
Photographer: ohokubo shoui
Stylist: RUI [RETUN REP]
Make : MIYABI
Hair:Shouta Miyashita
Direction / Video edit / Text:minami

