
いま、時代に新しい波を起こすアーティストやクリエイターの"内側"に踏み込む連載企画「NEW WAVE / NEXT CORE」
彼ら彼女らがどのような景色を見て、何に揺さぶられ、どのような感覚を軸に世界を捉えているのか――その中心へと迫っていく。
流行やムーブメントは、常にひとりの"個"から始まる。次の潮流をつくる表現者のCOREには何が宿っているのか。
その起点を探りながら、これから生まれる新しい波の輪郭を読者とともに見つめていきたい。
第12回目に登場するのは、新世代のポップアイコンでありながら、その核心に強烈なカウンターカルチャーの香りを宿すシンガーソングライター、Mega Shinnosuke。
10代でシーンに現れ、作詞・作曲・プロデュースまでを圧倒的な初期衝動とセンスで形にしてきた彼。しかし、その軽やかさの裏には、安易なバズを「意味がわからない」と切り捨てる、冷徹なまでの「真面目さ」と「ひねくれさ」が同居している。
最新シングル『運命の君』で彼が提示する、テクノロジーの時代に対するフィジカルな逆襲、そして自ら提唱する「ニューニューウェーブ」の現在地をディグる。

―― まずは自己紹介をお願いします。
シンガーソングライターのMega Shinnosukeです。
―― 音楽を始めたきっかけは?
もともと進学校に通っていたんですけど、音楽をやりたいなと思って高校を中退したのが始まりです。学校に行っていても早起きできないし、時間を無駄にするなと思って。中退して最初は中華麺屋でバイトを始めたんですけど、それはすぐ辞めちゃいました(笑)。
―― そこからは完全に音楽一本に?
そうですね。でも当時は大人の繋がりとかも全くなかったので、自分でCDを擦って(焼いて)、チャリの籠にビニール袋ごと詰め込んで、地元のTSUTAYAの店長さんに直接「置いてください」って話しかけに行っていました。
―― 高校生がチャリで直談判しにいくのは凄い行動力ですね。
高校がないからとにかく暇で、俺しかいない部活動みたいに動いていました(笑)。
ラジオ局の人にも自分で言いに行ったり、福岡のタワーレコードには当時インディーズコーナーがなかったので、たまたま見つけたメジャーのレーベルの人に頼み込んで置かせてもらったり。1枚500円で売ってたんですけど、たまにメルカリで売られてて悲しいです(笑)。
―― 地元にはそういうカルチャーの話ができる友達はいましたか?
全然いなくて。友達に「古着屋に行ってる」って言ったら「なんでリサイクルショップで中古の服買ってんの?」って言われるような環境でした。周りでSuchmosを知ってるやつも本当に俺しかいなかった。
だから同世代より、CDを置かせてくれたお店のおじさんたちと凄い話が合いましたね。そういう泥臭い10代の経験が、今の僕の等身大のスタイルにそのまま繋がっていると思います。

―― Mega Shinnosukeさんが「次に来る」と感じているものは?
ギターかなと思って、今って一番人口が日本でやっている人の人口が増えているジャンルってヒップホップだと思うんですけど。何で増えているかというと、本当に言葉を選ばずに言うと簡単だからだと思うんですよ。
誰でもビートがどこから引っ張ってきて、歌さえ歌えれば、何なら下手したら歌も歌えなくても表現ができるじゃないですか。
でも今ってAIとかが普及してきたりとか、何が本当で何が嘘か分からなくなるし、それっぽいものをもっと簡単に機械が作れちゃう時代が来ているから、その時にギターという楽器だけは結構フィジカルっていうか、人の動きが見える楽器だなというふうに思っていて。
人が弦を鳴らした時のその人独特の、その人の間があるし、そういうのがすごく見える楽器かなと思うから、ギターはそういう機械、テクノロジーが発達しても色褪せない楽器なんじゃないかなと思っています。

―― Mega ShinnosukeさんのCOREを表す3つのキーワードを教えてください。
1つ目は本名「Mega Shinnosuke」です。
これ、実は芸名じゃなくて本名なんですよ。漢字表記がかなり珍しいので、ずっと名前にびっくりされながら生きてきました。
―― なぜ活動名を本名にしようと?
17歳か18歳くらいの時に、Apple MusicやSpotifyのページを作るから名前を決めてくれって言われて。その時に「10代のノリで決めた名前で一生活動していくのは、どすべりしたら最悪だな」と思って、一番安全な本名にしようと(笑)。
元の漢字が珍しすぎるから、英字にすればカモフラージュできると思ったんです。でも逆に「なんでメガなんですか?」っていろんな人から聞かれるようになっちゃって、結果的にめんどくさいことになりました(笑)。でも自分としては、変なキャラ付けをせず、等身大の自分のままで活動しようという意味もあって、すごく気に入っています。
2つ目は「真面目」です。
僕、高校を中退しているので世間的には不真面目に見えるかもしれないんですけど、自分なりに将来をシビアに見据えて中退したんですよ。親に言われるがままなんとなく大学に進むのが、果たして本当に「真面目」なのかな?って学生の時に考えて。
―― ご自身のどういう部分が「真面目」だと思いますか?
一番は、仕事の納期を絶対に守るところです(笑)。今のところ全部の現場で納期を守っています。
17歳の時に私立恵比寿中学さんに初めて楽曲提供させてもらったんですけど、当時はどこにも所属してない、ただ高校を辞めただけのさすらい人みたいな状態だったんです。それでも大人の現場でちゃんとプロとして納期を守って提出した。
そこが僕なりの「真面目さ」ですね。
―― 学校を辞めたのも、時間を無駄にしたくなかったから?
そうです。通っていたのが進学校だったんですけど、音楽がやりたいのに学校にいても意味ないし、そもそも早起きできないなと思って。総合的に見て1年間時間を無駄にするくらいなら辞めようと。
―― 音楽の専門学校へ行く選択肢はなかったんですか?
最初は考えたんですけど、YouTubeを見ていたら結構自分で学べちゃったんですよね(笑)。専門学校にフルで通うと400万円くらいかかる。だったらその400万で服を買った方が、自分のなりたいアーティスト像に近づけるなと思ったんです。
専門学校の先生にその話をしたら、まだ入学もしてないのにめちゃくちゃキレられました(笑)。でも、結果的に行かなくて本当に良かったと思っています。実際、これまでに服には400万円以上使っていますしね。本当に好きなことって、誰かに教わらなくても自分でやろうとすれば自然とできるようになる。今自分がやっているクリエイティブは、絶対に専門学校では学べなかったと断言できます。
3つ目は「ひねくれ者」です。
やっぱり、どこか物事を斜めから見ちゃう癖があるんですよね。2年前に『愛とU』という曲がSNSでバズった時も、投稿が増えてもちろん嬉しかったんですけど、どこかで「なんだこれ、このダンスはなんだろう」って冷めた目で見てる自分もいて。
―― 自分の曲で盛り上がっているタイムラインを、客観的に見ていたんですね。
普通なら同じ教室にいても絶対話さなかったであろうタイプの人たちが、自分の曲で踊っている。その状況自体は、すごくカオスで面白いカルチャーだなと思うんです。でも、そこに僕自身が「踊ってくれてありがとうございます!僕も一緒に踊っちゃいます!」って迎合していくのはダサいなと。
―― 時代の流行りに乗るのではなく、自分が本当にいいと思ったものを見ていたいという気持ちなのでしょうか?
そう。みんながやるからやる、みたいな今の時代のフォーマットに簡単に自分をハメにいかない。世間の「正しさ」に迎合しないひねくれさこそが、クリエイティブを作る上での僕の「真面目さ」なんです。高校を辞めてチャリでCDを配っていた時の、あの「中退モード」で今も生きてます。

―― 最後に、Mega Shinnosukeさんがこれから起こしたい"波"について教えてください。
コーナー名にも被るんですけど、「ニューウェーブ」です。
ちょっとパンクロックとかロックミュージックの精神を引き継ぎながら、若干エレクトロっぽいシンセが入ってくる、ギター×シンセみたいな80'sの音楽ジャンルがあるんですけど、それをまた現代版にアップデートして、「ニューニューウェーブ」にしようっていう。
―― 具体的にはどういった音像ですか?
さっき「ヒップホップが一番流行ってる」って話をしたと思うんですけど、ロックミュージックでも、あのヒップホップの打ち込みの耳に早く届くような音感と、もともとロックが持ってる抜け感、優しい感じを融合できないかなって思っていて。
日本の現代っぽいもこもこした感じじゃなくて、ギラッとしたハイファイな綺麗な音を組み合わせて「ニューニューウェーブ」っていうのを作りたい。これならロックミュージックでも今の市場に乗り込めるんじゃないかなって。
―― じゃあ、新しいシングルについてもちょっとニューニューウェーブ始まってますね。
それこそ『運命の君』をリリースしたのですが、その曲はパンクロック、青春パンクをメインに土台にして、そこにシンセとかが鳴ってて、まさしくニューニューウェーブです。
でもドラムは本当に実際に演奏して録っていて、そっちよりではないんですけど、ロックよりのニューニューウェーブですね。もうちょっと本当に青春ロック系にシンセが乗ってて。ちょっと現代っぽい音もしつつ、俺の好きなサブカルチャーの歴史のある音も聞こえてくるような、ビンテージなニューニューウェーブって感じでやっていきます、今後は。
―― その曲を制作するときはどんな感じで始めたんですか?
その曲がアニメの曲で、原作の『正反対な君と僕』を読んで作りました。学生の青春とラブストーリーなんですけど、自分が経験できなかったような甘酸っぱいストーリーで。その子たちが帰り道に聞くような、どの年代でも青春を感じる瞬間に聴きたくなるような曲にしようっていうので、制作が始まって。
でも制作の期間が本当に短くて、2週間もなかった。その中でめっちゃいい曲できたんで、ラッキーで、神が降りたかも。昨日ミュージックビデオ撮影してて、それもぜひ見てほしいな。
―― ミュージックビデオはどんな内容に?
合唱コンクールの学生の合唱団と、パンクバンドが一緒に演奏するっていう、結構斬新な感じです。
ロックアンセムかなと思ってて、自分のその曲を。だからみんなで歌える曲だし、普通にサビで派手にスパンコールが飛ぶみたいな感じのイメージの曲なんですけど、なんかちょっとベタだなと思うし、掃除とか大変だし、1回しか撮れないからそれは嫌だなと思って(笑)。
どうやったらサビが派手になるかなと思ったときに、やっぱり人間、フィジカルだなっていうか。人間が歌っているだけで十分光が見える。だからもう、みんなで歌おうっていう感じですね。

高校を中退し、自分で焼いたCDをチャリの籠に詰めてお店を回っていた17歳の頃から、Mega Shinnosukeのスタンスは驚くほど変わっていない。
世間のバズや流行りのフォーマットに自分をハメにいくのではなく、ただ自分が「本当にかっこいい」と信じるフィジカルな衝動だけを追いかける。そのひねくれた真面目さこそが、彼の音楽がいつの時代も色褪せない最大の理由なのだろう。
最新シングル『運命の君』で鳴り響くギラついたシンセサイザーとギター、そして学生合唱団を巻き込んだ生のエネルギー。画面の向こう側のタイムラインに彼が仕掛ける「ニューニューウェーブ」は、まだ始まったばかりだ。
New Single 『運命の君』
TVアニメ『正反対な君と僕』エンディングテーマ、各サブスクリプションサービスにて大ヒット配信中。
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当日彼が着用したのは、mahagridのシャツとITZAVIBEのスカート。
ユーズド加工を施したチェックシャツを主役に、ストリートではなく古着特有のニュアンスで構築したルック。
スカートのインナーに配されたチェック柄と色を同期させることで、全体に統一感を。さらに、レイヤードされたわずかなフリルがスタイリングのアクセントになっている。
ブランド:mahagrid
韓国発のストリートブランド mahagrid
メンズレディース問わず幅広いアイテムを展開。
ストリートカルチャーという歴史を一つの道しるべとし、さまざまな要素を再解釈したデザインが特徴。

ブランド:ITZAVIBE
韓国発のカジュアルブランド ITZAVIBE
カラフルでプレイフルなアイテムが特徴。
近年韓国で人気を集めているアニマルTシャツで話題を呼んだ。猫がプリントされたミニ丈Tシャツや男女問わず着用可能なゆったりシルエットのフリーサイズのアイテムが勢揃いする。

Featured Artist:Mega Shinnosuke
Brand: mahagrid,ITZAVIBE
Photographer:YURI HORIE
Video/Video edit : yuma goto / NANA
Stylist:KAN FUCHIGAMI
Hair,Make : chishiki matsumoto (dynamic dynamic)
Direction/Text:minami
Assistant : oto



