アジア各国のファッションディレクターに、ローカルな人気スポットやその国のストリートファッション、HIP HOPの実情を、SIXTYPERCENTのブランドディレクター Nanaが探る連載企画。感度の高いデザイナー達が集うローカルカルチャーから、アップカミングなアイコン達を探ってみよう。
今回は、2012年に立ち上げられたタイのライフスタイルブランド「LEISURE PROJECTS」の代表 Nutが登場。タイの古い歴史と新しいカルチャーが融合する独特な世界観を、自身の一タイデザイナーとしてのプレゼンスと共に話してくれた。

 

Nana : 初めまして!LEISURE PROJECTSについてブランド紹介をお願いします。

Nat : LEISURE PROJECTSは、2012年にセントマーチン大学を卒業したNattapon Kanokvaleewong (通称:Nut)が立ち上げたブランドです。楽しく、カジュアルなテイストのプロダクトを展開するようにしていて、タイらしいカラフルなスタイリングやデザインがメインになっています。

Nana : Natさんのファウンダーとしてのキャリアについてもお話をお伺いしたいです!元々ファッションのご経歴があったのでしょうか?

Nat : そうですね。私の家族は元々衣類関係のビジネスを80年代から行っていて、セントマーチン大にいる時はVivienne Westwoodでビジュアルマーチャンダイジングのアルバイトも経験しました。そこでデザインやリテールなどがどう展開されているのかを知ることができたと思っています。そしてタイに戻ってから家族経営をしていたブランドでリテールやクリエイティブ周りを担当し、一度は自分で0から作ってみたいと思っていたブランドを立ち上げ、それが LEISURE PROJECTSになります。シンプルなTシャツなどがメインで Instagramを中心に販売をスタートしました。Leisure Time = 余暇 のためのプロジェクトというブランド名をつけたのは、ビーチでみんなが余暇を楽しめるようなスタイルを提案したかったという理由です。

Nana : 確かにLEISURE PROJECTSの商品はビーチ撮影がかなり多いイメージですね。店舗も展開はしているのでしょうか?

Nat : 今はサイアム地区にフラグシップストアを持っていて、デパートにも複数店舗が入っていますね。

Nana : ちなみに Natさんが面白いと思うタイのローカルスポットはありますか?

Nat : ブランドのフラグシップ店舗があるSIAM CENTER (サイアムセンター)は現在バンコクの中心的存在で、タイのファッションを世界に伝えるブティックになっていると思います。1973年からタイのPOP CULTUREと合わせて展開をしていて、例えばサイアムセンターの3階にタイのファッションデザイナーが集まるハブがあったりします。

あとは、ジャルンクルン通りですね。チャイナタウンとチャオプラヤ川に沿って、新しいデザインの中心地となりつつある場所です!元々古い郵便局があったところが、今ではデザインの最新鋭のロケーションになっていて、ギャラリーなどが点在している場所です。

Nana : なるほど。中国カルチャーとタイのカルチャーが融合されている新領域ということですね!また、Natさんが思うタイファッションのムーブメントについてお聞かせいただけますか?

Nat : タイでもオンラインでの販売がかなり活発になってきていて、ファッション市場はかなり右肩上がりになっていると思います。タイのファッションを世界に見せる良いタイミングですし、タイのデザイナーは存分に海外へのPRを行うことができていると思いますね。

Nana : 今後のタイファッションの展望はどうでしょうか?個人的にはタイはKPOPカルチャーと同じように成長を遂げていると思いますが。

Nat : そうですね。タイのファッションは幸いなことに生産体制が整っていますね、本来裁縫・制作等の工場周りが一貫して整っていないと良いアパレルは作られない中、タイはそこに根元があったことが大きいと思います。クラフトマンシップの基盤がある中で、若者のソーシャルメディアを使った知見などが合わさるととても好転すると思います。競合ブランドも多く出てきていますし、私自身としてはこのような若いタイデザイナーのルーツ的な存在でLEISURE PROJECTSを引っ張っていくことができていることに感謝していますね。レストランもホテルも、ファッション以外の成長も著しいですし、バンコクではリサイクル衣類の購入なども盛んになっているので多様な領域で盛り上がりが生まれていると思います。

またタイ国内のヤラー地区からバティックプリントというタイの伝統的なスタイルを使ったブランドが続々と出てきて、タイらしさを演出する良いアプローチだと感じています。

 

Nana : LEISURE PROJECTSは数多くのファッションウィークにも参加されていると思いますが、今後は他国展開なども考えていますか?

Nat : タイのファッションウィークは他のファッションウィークと少々異なっていて、今販売しているシーズンものをそのファッションウィークで展開しています。通常他国とかですとショールームやエージェンシーなどを使って次のシーズンのコレクションを見せることが多いと思いますが。お金も高くつきますからね。

LEISURE PROJECTSとしては中国、香港、ベトナム、シンガポールでランウェイを行い、パリ・東京・そしてソウルでショーケースを展開したことがあります。世界に向けてタイのファッションを見せていくという点ではファッションウィークはとても大切な機会になっていると思います。