アジア各国のファッションディレクターに、ローカルな人気スポットやその国のストリートファッション、HIP HOPの実情を、SIXTYPERCENTのブランドディレクター Nanaが探る連載企画。

今回は、日本のみならず世界各国から数多くの注文が入る最新鋭のストリートブランド「POSHBRAIN」(ポッシュブレイン)の共同ファウンダー Adrian(エイドリアン)とRizky(リスキー)への独占取材を行った。

Nana : こんにちは!今回はPOSHBRAINから共同ファウンダーの2名をゲストに迎えています。まずはブランドの紹介をお願いします。

Adrian : POSHBRAINは、2020年初頭からAdrianとRizkyがディレクターを務めるファッションブランドです。

NANA : 二人の役割の違いは何ですか?

RIZKY : 私たちは以前から知り合いで、よく話をする仲だったんですが、去年クラブで話しながら、Adrianとワンチームでブランドを育てられる可能性があるんじゃないかと考えていたんです。
Adrian : そうですね。ビジネス面で彼を助けられると思ったのが始まりです。基盤を作り、素晴らしいチームを作り、全体を監督し、Rizkyがクリエイティブディレクションにフォーカスができるようにしようと思い、スタートしました。

Nana : Rizkyは以前、POSHBRAINとは別に5つのブランドを所有していて、今でも複数のブランドを展開されているようですが本当でしょうか?
Rizky : はい、その通りです。
Nana : 5つのブランドを同時に扱うことができるってすごいですよね!全てジャンルも異なるのでしょうか?

Rizky : 様々なジャンルを持っていますが、最近のブランドでいうと、私がゴルフにハマっているので、ゴルフウェアをプロデュースしています。

Nana : すごいですね!ストリートウェアシーンでもHYPEBEASTがHYPE GOLFを始めたように、盛り上がりがありますもんね。
また、Poshbrainのような素晴らしいブランドを育てるための戦略についてもお聞きしたいです。プロモーションのために考えていることはありますか?

Adrian:最初はどちらかというと完全にオーガニックでしたね。ブランドを立ち上げたRizkyはナチュラルにブランドを作っていて、戦略たてて筋道を作る手法ではなかったです。インドネシアはまた根本的にコミュニティの力が強いこともあり、その経緯もあってブランドが成長し、その後はシンガポールや日本など、海外からの需要が増えていきました。

また、「一貫したコンテンツ」作りは自分たちの中枢にあると思っています。プロモーション用のコンテンツを作り出すよりも、いかに一貫したコンテンツを提供し続けることができるのかという点に重きを置いていますね

Nana : ブランドの成長の鍵になっているということですね。またお二人は同じクラブで出会ったとおっしゃっていましたね。インドネシアのクラブシーンはどのようなカルチャームーブメントがあるのでしょうか?

Adrian : 現在は、COVID-19の影響が2年続いているのでえ何とも言えませんが、当時のインドネシアのクラブシーンは、テクノミュージックなどが中心でしたね。RizkyはDJもやっていたんですよ。

Nana : それはすごいですね!また、ジャカルタのファッションシーンについてもお伺いさせてください。

Adrian : インドネシアには、潜在力があるブランドが沢山生まれています。でも、多くのブランドが個性のない似たようなものになってしまっているから、クールなコンセプトを持ったブランドをもっと露出させる必要があると感じています。

Nana : 反社会的な主張だったり、ブランド自身のステートメントがないということでしょうか?

Adrian : おっしゃる通りです。

Adrian : あとはファッションシーンで言うと、ジャカルタのファッションシーンよりもバンドン地区のファッションシーンの方が中心ではないかと思います。例えばカナダのブランドが、このバンドン地区で商品を作っていたりしますし。ここでは、素材を調達したり、印刷関連などのアパレルに必要な要素がたくさん揃っていますから。ジャカルタはよりオフィス街っていう感じですね

Nana : 私はインドネシアに以前3回行ったことがあるのに、バンドンに行ったことがないのが残念です。お2人は、実店舗を計画はされているのでしょうか?

Adrian : 今のところ、COVID-19が終わった後、今年の年末くらいには作る予定です。

Nana : そうなんですね。POSHBRAINにはすでに数多くの卸先があることにも驚きました。現在の主な顧客ターゲットは何ですか?

Adrian:我々の最大の市場は海外で、全体の70%で国内が30%程度です。主なマーケットは、東南アジア、中東、シンガポール、そして日本ですね!

Nana:POSHBRAINのインスタグラムを見ていると、海外にも多くのファンがいることを実感します。

Adrian:とある日本のストアが、私たちの製品を日本の多くの店舗に卸してくれたこともありましたからね。
Rizky : あとは、韓国上陸も我々のターゲットです
Adrian:そうですね。あとはベルリンのいくつかのお店からは、すでに販売についての問い合わせがあったので、これも次のターゲットです。そして、できればパリでも。

Nana : かなりグローバルですよね。一般客はすでにウェブサイトやインスタから直接購入をしている感じですか?

Adrian : はい。トコペディアやショッピーは、地元のファンが購入する用途なだけなので、インスタグラムやウェブサイトを見ている海外のお客さんのためのものです。

Nana : また、お2人にアジアのストリートウェアのムーブメントや、アジアのファッションシーンについてお伺いさせてください。

Adrian:まず、アジアの市場自体が巨大で、スタイル自体もアメリカとは明らかに異なります。アジアのグラフィックはヘビーだと思いますね。ヨーロッパやアメリカのブランドの多くは、シンプル且つライトさを持っていると思います。 アジアのデザインは、よりカラフルで、様々な文化が混ざり合ったスタイルが中心ですね。アジアブランドの今後の可能性は大いにあると思いますよ。

Nana:お二人は、アジアのデザイナーが世界市場で大きな可能性を持っていることを証明されていると個人的には感じます。

Adrian:そうありたいですね。アジアのブランドは、世界基準にステップアップし、もっと認知されるように努めるべきかと。ほとんどのブランドは、まだ隠れた宝石のようなもので、世界地図を最大限に活用できていないって感じですね。

あとは持続可能性も重要な課題だと感じています。今、環境問題や人件費などのファッションの問題に対する意識が高まっています。ビジネスの観点からは、消費者が関心を持つような持続可能な解決策をどのように提示するかというPRの面に自分も意識をむけています。

Nana : その通りですね。以前、日本市場での販売についてお聞きしましたが、日本市場だけでなく、海外の店舗でも販売する予定はありますか?

Adrian : パンデミックが終息した後は、国際的な舞台での露出を増やしたいと考えています!