アジア各国のファッションディレクターに、ローカルな人気スポットやその国のストリートファッション、HIP HOPの実情を、SIXTYPERCENTのブランドディレクター Nanaが探る連載企画。感度の高いデザイナー達が集うローカルカルチャーから、アップカミングなアイコン達を探ってみよう。
今回は、タイ・バンコクのストリートウェアシーンを牽引する有名ストア「V.A.C」のファウンダー Bobをゲストに迎えて、バンコクの今起きてるストリートシーンの状況や今後のV.A.Cの展開をお伺いした。

Nana : 初めまして!今回はタイから10人目となる人気デザイナーのインタビューになります!よろしくお願いします!

Bob : ありがとうございます。よろしくお願いします!

Nana : まずはブランドの簡単な説明をお願いします。

Bob : 私の名前は Bobと行って、V.A.Cの創業者兼オーナーです。V.A.C Culture というプライベートブランドを持っていて、タイで展開をしています。

Nana : V.A.C はいつ頃店舗を立ち上げたのでしょうか?

Bob : ちょうど10年目になるんです!

Nana : すごいですね!Bobさんは基本的にはアイテムセレクトやデザインパートを担当されているのでしょうか?

Bob : その通りです!

Nana : 何かV.A.Cを始められる前にファッションビジネスのご経験があったりしたのでしょうか。

Bob : 全くですよ!私は8年間高校からアメリカの方でマネージメントを学んでいました。ファッション分野という意味では、アメリカにいたころからスニーカーシーンが身近にあったことが理由になっていると思います。DARA(ダラ)のスニーカーコレクションなど、その時は小さいブランドだった物が自分の高校生活と共に成長しているような感じですね。

Nana : アメリカから戻ってからすぐストアを立ち上げたんですか?

Bob : そのあとはNIKEのタイ支社で働きました。理由はNIKEのオフィスはいえからとても近かったので(笑)CANONとかNIKEとかが自分の近くにあったので、何も考えずに「近いから」という理由で面接しました。NIKEはそんな自分を気に入ってくれたみたいで笑

Nana : NIKEではどのようなポジションを?

Bob : 4年半働いたのですが3部署移動をしましたね。最初はセールス部署でアカウンティングコントロールでしたね。NIKEのお客様やリテーラーをコントロールしました。シンガポールに出張してどの商品をタイのどの店舗に置くべきか、というような決定もしていました。そのあとEKINチームに移動しました。EKINはNIKEのスペルを逆に読む特別なチームなんですけど、”EKIN”チームはNIKEのストーリーや歴史、アイテムなどを全て知らなければいけない特殊なチームです。そのあとスポーツマーケティング部署に映ったのですが、この時はまだスポーツマーケという概念がなかったので0からの取り組みが多かったですね。

そのあと何をしたら良いのか考えて、セレクトストアを立ち上げようかなと思い立ち上げたのがV.A.Cです。

Nana : NIKEにいた時に上流〜下流と全部経験していたのが大きかったんですね!

Bob : その通りですね。立ち上げる前からノウハウを得ている方が良いので。

Nana :  V.A.Cは最初から店舗立ち上げを行ったんでしょうか?

Bob : V.A.Cは店舗運営からスタートしました。バスケ・フットボールのアイテム関連を展開していて、その後スニーカー周りも集約して行った形ですね。

Nana : V.A.Cのカスタマーはスポーツとストリートシーンの融合って感じですね。

Bob : スポーツとストリートが融合していますね。V.A.Cはその頃からNIKE 6.0(シックスポイントオー)シリーズを限定で販売していました。NIKEがその当時6.0をヤングカスタマーに向けて強くPRしていたのと、スケートカルチャーと若い顧客が届きやすい値段で展開していたこともあり4年間くらいこのコレクションを販売していたのも顧客基盤の獲得につながったと思っています。其の後6.0は販売中止しちゃったんですけどね。

Nana : NIKEの限定を買うにはV.A.Cにいくという概念が生まれそうですね!

Bob : JordanのコレクションもV.A.Cが独占していましたからね。

Nana : なるほど。BobさんはNIKEからタイのストリートウェアシーンをずっとみていると思いますが、今のバンコクのファッションをどう思いますか?

Bob : そうですね・・・タイのストリートウェア市場はとても「奇妙」だと思いますね(笑)なぜならとても HYPE (ハイプ)過ぎてしまうってことですかね。1つのアイテムの為に並ぶことが権威というか、ストリートウェアを目指すというよりは HYPEを目指すというように見えますね。

Nana : 並ぶことがストリートウェアの中心になった気がして満足。って感じですかね。

Bob : そうですね。なので「奇妙」というのが一番フィットしてる単語かなと。このトレンドがいつまで続くのか。ファッションの中心にいてHYPEを気にしない30%の人々が、いつか市場をより占有して行くのが大切かなと。HYPEとリセール金額が比例して伸びていて、今後ブランドを展開するのも皆難しくなってきてしまうと思うので。

Nana : バンコクの人々は結構ストリートウェアが中心というか、他のファッションスタイルには興味を示していないように見えましたね。

Bob : スタイルに関しては、ストリートウェアがタイでは1位ですね。Tシャツやフーディを着てればストリートウェアという感覚になっているのもあると思いますけど。

Nana : 確かに、それは日本もそうだと思います。後V.A.Cのインスタはとても洗練されてコントロールされていますが、このようにV.A.Cが洗練され成長を遂げている理由はなんだと思いますか?

Bob : 柔軟性と適応性、これが私たちの強みですね。これがありながらも強いアイデンティティがあるということが自分たちが展開しているブランドの秘訣だと思います。お客様を向けて商品を展開するというよりは、このプロダクトがかっこいいし自分のアイデンティティに合うという物に焦点を当て続けることも大切かなと思っています。

実は今NARUTO (ナルト)のアイテムをコラボレーションで展開しようとしています。イラストレーターでとても有名な方がNARUTOのイメージを書いていて、販売した時は1日で即完しましたし、すごく並びもできましたね。

Nana : NARUTOは結構HYPEだったんじゃないですか?

Bob : ドラゴンボールなどのコラボも展開しています。COIDなども展開予定です。これは多分日本のコミックじゃないと思いますが。コロナのせいでコレクション展開が少し遅れていますが、ワンピースとポケモンのコレクションも展開しますよ。

Nana : TOP5全てコラボしていますね!

Bob : そうですね。元々ワンピースが自分は一番好きで、今年はコラボが続くのでとても楽しみです。

Nana : 漫画・アニメとストリートウェアの親和性が最近注目されていますよね。

Bob : そうですね。漫画とアニメは誰が何を言おうと好きな人は好きというか(笑)これでジャンプがファッションブランドを作ってもそれは違うのかなと思いますね。なのでストリートウェアブランドとのコラボが盛んになっているのではないかなと。

Nana : 確かに。しかもワンピースやNARUTOくらいのレベルだとコラボも難しいのに、これだけ展開が決まっているのはすごいと思いますね。

Bob : 日本はもっとコラボする時の競争率が高いと思いますよ。タイはコラボに対して投資できるストア基盤がCARNIVALとか私たちくらいだと思うんですよね。

Nana: 今年がすごく楽しみですね!日本にもV.A.Cの展開予定はありますか?

Bob : そうですね!展開したいとは思っていますし、自分も1年に1回は訪れる場所なので、展開方法やノウハウがあればやりたいと思っていますよ!

Nana : 私が日本人としてV.A.Cのインスタやアイテムのクリエイティブをみていても、日本人のスタイルにとても近い気がしていて、展開をぜひして欲しいと思います!

Bob  : 是非是非。

Nana :最後の質問ですが、デザインを行う時にどこからインスピレーションを得ていますか?

Bob : そうですね。多分毎日の自然なアクティビティが全て連動していると思います。趣味がすごく豊富で、本も読むしスポーツがとても好きだし、アートもよくみます。自分の趣味が作っている物が融合してアイデアが出てくるという感じですかね。どこからきているのかといわれると難しいですが、自然に現れているというのが正しい回答かなと思います。

Nana : 趣味が仕事につながるというのは読者にとっても嬉しい言葉だと思います!ありがとうございました。