アジア各国のファッションディレクターに、ローカルな人気スポットやその国のストリートファッション、HIP HOPの実情を、SIXTYPERCENTのブランドディレクター Nanaが探る連載企画。感度の高いデザイナー達が集うローカルカルチャーから、アップカミングなアイコン達を探ってみよう。
今回はインドネシア・ジャカルタで知名度の高い人気ブランド「Roughneck1991」の創業者 Rusliが登場。ファッションブランドとしてジャカルタのユースカルチャーを牽引し、フレグランスアイテムなどバラエティに富んだ商品展開でSNSには約70万人のフォロワーがいる人気ブランドの秘密に迫る。
Nana : こんにちは!今日はよろしくお願いします!
Rusli : 初めまして!よろしくお願いします。
Nana : 今回は、60magazineの連載企画「アジアンストリート特集」に参加いただきありがとうございます。今回はインドネシアからRusliをゲストにむかえてインタビューをさせていただきますが、インドネシアからは以前「CROOZ」(クルーズ)や「Thanksinsomnia」(テンクスインソムニア)などに参加いただいていますよ。ご存知でしょうか?
Rusli : そうなんですね!モハン(Thanksinsomniaのファウンダー)やマックス(Croozのファウンダー)ですよね。皆知り合いですよ!実はマックスとのPodcastを以前聞かせていただいていました。
Nana : 本当ですか(笑)!嬉しいです。このようなインタビューを通じてRoughneck1991も知ることができたので。
Rusli : Roughneck1991はどこで知ってくれたんでしょうか?
Nana : SNSですね!最初Roughneck1991を知った時、インドネシアのブランドだと思わなかったんですよ。インスタグラムの運用などがとても統制されていてシンプルですし、すぐに連絡をしました!
Rusli : 本当ですか!とても嬉しいです。
Nana : それでは一度ブランドの紹介をお願いします。
Rusli : ブランド名は「Roughneck1991」と言って、Roughneckのいみは作業場で働く人らを意味していて、作業場と言うよりも働いている人の雰囲気から「強壮さ」をイメージして付けました。基本的には男性らしい作りをしていて、1991を付けたのは90年代が音楽・ファッション・映画などのトレンドが作られた年なので「Roughneck1991」と名付けました。
Nana : ブランド創業が1991年と言うわけではないと言うことですね!
Rusli : そうです!1991年に操業していたらもうレジェンド級のブランドですよ(笑)1991年は自分の誕生年です。
Nana : 私は1992年なのでほとんど同じ年ですね!あとはRusliさんのファッションキャリアをお聞かせください。
Rusli : 2015年にブランドの生産を請け負う会社を開始したのがスタートです。ドレスやジャケットを生産するオペレーション会社だったのですが、もっと多くの商品を作らないと費用対効果が合わないなと思ってプライベートブランドを作ることにしたんですよ。それがRoughneck1991が立ち上げられたきっかけでした。インドネシアの若者は海外輸入の厚めの生地の商品をその頃から求めていたのですが、金額的に高くて届かなかったんです。なので我々は厚めの生地を使ったアイテムを低単価で購入できるような形でブランドを展開しました。
インドネシアの人々が海外の商品ではなく、ローカルの商品でも自信を持てるように。と言うのがコンセプトで、実際商品の品質に関してはハイブランドには勝てないかもしれないですが、品質を近づけて価格はかなり購入しやすいレートに下げると言うことに挑戦しました。
Nana : なるほど。ちなみにRusliさんがクリエイティブなど全てコントロールされているんでしょうか?
Rusli : 勿論ですよ!
Nana : 他のブランドに比べてもかなりシンプルで洗練されているイメージを受けました。
Rusli : ありがとうございます。それこそ私が望んでいるブランドのイメージですね。シンプルでエレガントなブランディングを徹底しています。勿論他の優秀なチームメンバーがいるからこそですけどね。
Nana : 何名くらいで働かれているんでしょうか?
Rusli : 今全員合わせて20-30名くらいのチームです。
Nana : そうなんですね!と言うのも、Roughneck1991は香水も販売していますよね。通常のブランドよりもアイテムバリエーションがとても多いなと思ったので。香水を販売することになったきっかけはありましたか?
Rusli : そうですね。個人的にもチームも香水が好きだった、と言うことは第一にあります。
Nana : 香水のブランドとコラボをしたのですか?それとも0→1で始められたのでしょうか?
Rusli : フロムスクラッチ(0→1)ですよ。優秀なサプライヤーを見つけて、化学反応などかなり学びましたね。ファンの反応もとても良くて、かなりの本数販売できました。最初に販売した香水が良かったので、フレグランス市場によりうまくリーチできるなと思って、子会社を立ち上げてアカウントも分けて運用をしています。ビジュアルの見せ方もかなり変えています。
フレグランスの販売に関しては、服よりももっと顧客に近いマーケティングをしなければならないので、販売代理店・リセールのシステムを活用してPRをしています。Roughneckの概念である良いものを低価格でリーチできると言うのを目的にしているので、フレグランスも同じ展開をしています。まだ始めたばかりですがとても面白い挑戦です!
Nana : とても面白いと思います。東京でも国内の香水メーカーよりやっぱり海外輸入の香水を買う傾向にありますから。
Rusli : そうですよね。だからこそリセールのシステムが生かされると思うんです。他の人が買ったレビュー、使ったレビューを広めることが最も大切なので。服は写真を見てサイズが問題なければ変えますが、フレグランスは違いますからね。
Nana : 確かに難しいですよね。
Rusli : 挑戦的って言う感じですね。
Nana : 確かにそうですね!あと、インドネシアのストリートウェアシーンは今かなり盛り上がりがあると思いますが、Rusli自身が見てどうでしょう?
Rusli : かなり期待が高いですね。ストリートウェアへの関心がかなり高い状態なので、金欠な人でも持っているギリギリのお金を使って20,000円のTシャツを購入する、と言うような傾向にあります。
一つ挑戦だなと思うのは、世界的に有名なストリートブランド、例えばSupremeやOff-Whiteなどは、ただ着るだけで「かっこいいね!」となってしまうんですよ。価格が高いですからね。それを持ってる人はリッチだろう。と感じるので。「COOL」の感覚が金額に連動している気がするんです。なので我々の挑戦は、SNSやイベントなどを駆使して価格関係なくどのように「COOL」と感じさせるかと言うところにあると思っています。
あとは、我々のお客さんは高校生〜大学生などそこまでお金を潤沢に持っていない若者が多いので、SNSを使って彼らと共に2-wayのコミュニケーションを行うようにしています。お互いの交流をとても大切にしていますね。どのような商品が欲しいか、どんなデザインが好きなのか、と言うようなフィードバックもSNSで得ています。反対意見も受け入れていますよ!あとはゲームとかを行ったり。
Nana : ファンの方とゲームをすることによってロイヤリティが生まれると。
Rusli : そうですね。それがRoughneck1991が他と違う理由でもあると思います。
Nana : SNS戦略などもRusliさんが考案を?
Rusli: ゲームの案はチームですけどね。
Nana : だからRoughneck1991のインスタは1つの投稿に500以上のコメントが付くんですね!
Rusli : そうですね!他のブランドとかでコメントがついていないところは「アプローチが難しい」と思われてしまっていると思います。Roughneckはブランドやビジネスというよりは、Roughneckという「人」と認識してもらえるようにしていますね。
Nana : 今の時代で成功する上の最も大切なポイントな気がしますね。
Rusli : そうですね。我々は2018年からファンとの交流を欠かさず行っていたのも大きいかと思います。最近行ったイベントで、マップに順じて行うゲームなのですが外に出てサイクリングをしたりランニングをするゲームを展開して、1000人以上が参加登録をしました。ミッションを達成した人100名には無料でTシャツをプレゼントしました。
Nana ; そのようなアイデアはどこかインスピレーションの源泉があるのでしょうか?
Rusli : アイデアは自分が社会的に感じている問題などを考える時に出ることが多いですね。人権問題やドグマであったり。2018年に「Social Hazard」というコンセプトでアイテムを作ったんですけど、インドネシアの低所得者が高いレベルの商品や教育にリーチすることができない、そんな社会的なギャップについて掲げたアイテムを作りました。
Nana : インドネシアもまだ所得格差があるのですね。
Rusli : 高級ビルが立ち上がっている真隣にホームレスがいたりしますね。あとはコンシューマリズム(消費主義)に対してのアイテムも制作したりしましたね。
Nana : 社会の問題などに対して、Roughneck1991を通じて知ったり共に掲げていく若者が増えるのは良いことですよね!
Rusli : そうですね。狙ったわけではなく、ある集団でRoughneck1991の商品を掲げて共に社会問題に対して声をあげたりもしているので。暴動をして欲しいわけではないですけどね!人々が問題に耳を傾けて欲しいだけなので。
Nana : なるほど。あとこれが最後の質問になるのですが、Roughneck1991は日本市場に入ったり、海外市場への展開は考えられていますか?
Rusli : 勿論です!世界的なブランドにしていきたい気持ちはありますし、日本はストリートウェアやゲームなどの市場で歴史のある国ですし、挑戦したいと思っています。ただ今はインドネシア市場でもまだターゲットに全てリーチはできていないので、徐々に行っていきたいと思いますね。
Nana : なるほど!Roughneck1991はストアも持っていますよね。
Rusli : 今2店舗持っています。ジャカルタとバンドゥー地区に店舗があります。オンライン市場が非常に成長しているので、店舗もまだまだ持っていますね。
Nana : インドネシアの人々はクレカで決済を?
Rusli : そうですね!Shopeeをよく使っていますね。あとはTokopediaですかね。ブランドのサイト運営はなかなか人材不足で難しいので、Shopeeをメインに使っていますね。今Roughneckはランクで4位に入っているので。
Nana : すごいランキングですね!
Rusli : これもマーケットリーダーとしてのモチベーションの1つにつながっています。
Nana : 日本や他国でも絶対成功すると思います!ぜひ一緒にお仕事できたら嬉しいです!
Rusli : 勿論です!ありがとうございます。