“アジア”といえば、何を思い浮かべるだろう。各国雑多なグルメ、近年注目を浴びるストリートファッション、アングラな路地裏……。各々のイメージが詰まったアジア映画、もちろんそうでない作品も、この緊急事態宣言下だからこそ無我夢中な脳内旅行を実現させたい。

いつもふらふらと特に拘りもなく映画を視聴するエディターAが、アジア各国の映画を独断と偏見で紹介していこうと思う。細かいディテールまで鮮明な作品もあれば、キャストの名前を誰1人思い出せないものもある。そんな不確かな偏愛の詰まった作品は、Filmarksなどにクリップして、各々のタイミングで楽しんで欲しい。Netflixで視聴可能な作品はタイトルにタグ付けしています。

トッツィーズ&フェイクスター | タイ 2019年

http://shukran.cocolog-nifty.com/blog/2020/05/post-9e3d05.html

3人のゲイと1人のレズからなる仲良し4人組が織りなすドタバタコメディー映画。とにかくお下品で、お下品で、お下品……な作品。自身にB級映画への耐性があって心から良かったと思うし、コメディー映画の爽快さを振り切った点、世がバッド入りつつある今最も大切にしたい感性なのかもしれない。それぞれのマイノリティーがその下品なコメディーによってフラットに楽しめるのもハピネスだな……なんて。

僕らの先にある道 | 台湾 2018年

とにかくヒロイン役の周冬雨(チョウ・ドンユィ)がめちゃくちゃ可愛い……。果実系のプリッとした笑顔で、どんなわがままも許せてしまう。まるで「パルプ・フィクション」のファビアン再来のよう、私もブッチになってファビアンや周冬雨に振り回される準備は出来ているよ。
トキメキ周冬雨は勿論、男女の10年間と共に台湾の移ろいを楽しめるのも一興。ロマンス映画に救われるのは、目の前の不幸を将来の希望に馳せて逃避できる所だろうか。10年という歳月に重ねる各々の感情に浸って欲しい。

恋人たちの食卓 | 台湾 1994年

近年だと「ハルク」や「ライフ・オブ・パイ」などSF系譜の目立つアン・リー監督だが、その中でも初期の「父親三部作」をオススメしたい。「父親三部作」は、「推手(1991年)」、「ウェディング・バンケット(1993年)」、「恋人たちの食卓(1994年)」からなる、父親(共通してラン・シャンが演じる)と子供達をテーマにした連作。血縁故に生じるエゴを脚色無く描く自然の摂理が本当に美しいのです…。何よりも所以ある中国の文化をその時代に共存させる画!“お寿司屋で大きなサンデーパフェを食べる”みたいな、“スターバックスに米粒が落ちてる”みたいな……、絶妙なアジアと現代の違和感が、3部を通すとおセンチに思えてくるから不思議。
近いようで遠い家族の存在は、コロナ禍だからこそ再考する人も多いのでは? そんなセンチメンタルに効く作品は自宅で丁寧に鑑賞して欲しい。

レッド・ファミリー | 韓国 2013年

ドラマ「愛の不時着」が優しい世界に思えてしまう、社会主義の刹那を直球で描いた作品。ポスターしかり、所々資本主義・社会主義の風刺が描かれていて繰り返し観るたびに視点が変わりそう。「愛の不時着」とセットで観ても良いかもしれない。

ユ・ヨルの音楽アルバム | 韓国 2019年

 

ラジオをきっかけに、男女2人の再開と愛を描いた作品。ラジオリスナーにとって特に胸の高鳴るストーリー、こんなデステニー的出会いを誰もが待ち望んでいるだろう…。スマホの流通でデステニーが薄れたのか、人々のオフラインへの熱が途絶えかけているのか…。いつだって、トレンディーな出会い・すれ違い・再開に憧れてしまう。そんな90年代から変化する韓国の情景やファッション、コミュニケーションツールによる恋愛手段など、全体的な韓国の流れも俯瞰出来るので5倍胸が高まる。ラジオリスナーもガラケー世代もスマホ世代も、あるある!を共感しながら2人の愛を見守って欲しい。

まだまだ紹介したい作品はあるが、1つ1つがより粗雑になってしまうのでいつかの次回に残しておく。チョイスも感想も個人的偏愛に過ぎないが、誰かが少しでも新しいアジアを見つけられたら良いなと思う。偉そうにアジア映画を紹介した私ですが、今やっと「梨泰院クラス」を視聴しています。楽しい……。

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