日本はじめアジアの1週間をざっくばらんに探り、ピックアップしていく。週末のフリータイムは、下記とともに新しいアジアを探ってみては?

4/24~4/30

ユン・ヨジョンが助演女優賞に。韓国人俳優初のアカデミー賞を獲得。

第93回アカデミー賞の授賞式が開催され、韓国人俳優初コン・ヨジョンが助演女優賞を獲得した。コン・ヨジョンが出演した『ミナリ』は韓国系米国人のリー・アイザック・チョン監督が自身の体験を下敷きに、1980年代に希望を求めて米国に移住した韓国人一家の物語を描いた作品。現在日本でも上映中である。

また、今回は『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督が、アジア人女性として初の監督賞を受賞。アジアはもちろんフェミニズムを唱えられる昨今の評価基準において、今回の結果は時期につながる躍進に思える。

2017年に作品賞に輝いた『ムーンライト』はじめ、作品自体の幅が差別や格差をデフォルトに捉えたものが増えてきたように思う。その反面、一定の評価基準にそれが置かれることで、非当事者によるエンタメとしての消化も問題に。
一定数の基準を設けることで、それまで光の当たらなかった人々達を底上げすることが可能になる。その意図が今後も、映画を、もの語りを、愛する人たちによって真摯に繋いで欲しい。

同定義で『隔たる2人』などNetflix作品も数多受賞。STOP ASIA HATEやBLACK LIVES MATTERなど、一過性のものとして歴史に消化される前に、作品でそれぞれに落とし込んで欲しい。GWに是非。

ITZYが『마.피.아. In the morning』でカムバック。

我らのガールクラッシュ女王がカムバックした。白と黒のコントラストが印象的なMV。ITZYの代名詞、クラッシュなモード系を彷彿とさせる黒とガールズアイドルのピュアを彩る白。マフィアをテーマに多様なITZYが展開される。

今後のステージにも目が離せない本カムバック。GWのBGMにチョイスしてみては如何?

4/17〜4/23

大豆田とわ子と三人の元夫 ED『Presence』コラボに注目。今週はBIM。

今回のクールで放送が開始した連続ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」が、世間を賑わせている。直近だと「花束みたいな恋をした」の脚本を手がけた坂元裕二による書き下ろし作品の本作は、エンディング曲が松たか子×HIP HOPという攻めた姿勢。楽曲はSTUTSが担当し、第1回目のfeat. KID FRESINOで多大なインパクトを残した。今週放送された第2回目のED『Presence ⅱ』には、BIMが客演。2人目の夫、中村慎森を演じる岡田将生も参加し、毎話変わるであろうラッパーの客演に期待が高まる。

勿論、豪華客演が期待されるエンディング曲にも注目したいが、坂元裕二節が嫌味なく、存分に効いたストーリー・台詞も楽しみたい。忙しない日常と共感の嵐に対比するメロウな楽曲がなお引き立つ。

STUTS & 松たか子 with 3exes – Presence I feat. KID FRESINO (Official Music Video)

 

ナイキとMSCHFによる「サタンシューズ」論争

MSCHFとラッパーのリル ナズX(Lil Nas X)がコラボアイテムとして発売したスニーカー「サタン シューズ」が、ナイキのAir Max 97を無許可でカスタマイズしたものだったとして、ナイキが商標権侵害などで提訴を起こした結果、和解に至った。

MSCHFはNYを拠点とするアート集団。「インターネット界のバンクシー」と呼ばれ、奇抜な新鋭コレクションを勃発させ世間を賑わせている。

今回の「サタン シューズ」は、ラッパーのリル ナズXとのコラボアイテムとして展開。血をイメージした赤色のインクとMSCHIFスタッフ達の一滴の血がシューズに施され、聖書のルカによる福音書の一節、「かれは言った。私は悪魔が天から稲妻のように落ちるのを見た」に因んで、1018ドルで666足で販売。1分以内に完売し、賛否両論はありつつも一躍話題の1足に。

以前にもMSCHIFはナイキに許可を取らずで、エアマックス97のリメイクを「ジーザスシューズ」と称し販売している。「ジーザスシューズ」は聖職者に祝福されたヨルダン川の聖なる水をミッドソールに込めた1足だ。

MSCHIFは本件について、アートとしての解釈を主張しているが、既にヘッズ達によるナイキ不買運動が勃発するなどその所謂過激な表現に賛否両論が巡っている。無関係の位置にいるナイキが声をあげたのもそれが理由。

過去にもMSCHIFは、現代美術家のダミアン・ハーストの作品を切り取り販売、Supreme、The North Face、Adidas、Stussy、Palace、Chinatown Market、Kith、Off-WhiteのTシャツを切り抜き再構築したコラボレーションTシャツを販売し話題を集めている(もちろん全て無許可で)。

神出鬼没かつ現代社会を風刺したアートコンテンツで話題を集めるMSCHIF。ナイキとの「サタン シューズ」論争は、予測可能な事態だったように思う。そして、アパレルのコラボレーション文化に異議を唱えるMSCHIFへの反発こそが、コラボが蔓延し人々が消費していく違和感を具現化した1つであるのかもしれない(最良とは言えないが)。

“アート”という抽象的なものに委ねると、良心的な線引きが曖昧になるように思う。ナイキのエアフォースを無断で使用した商標問題は勿論、宗教に絡め“血”を用いた人道を問われる表現方法によって、間接的にナイキが被害を被った形が正しく、更にそのコンプライアンス的問題とアートの棲み分けがこれまで突発的にしか議題に上がらなかったゆえの賛否の結果。アートで非道を誤魔化しているのか、その裏の正義を信じるのかが本件の分かれ目。MSCHIFは後者なのでは?

MSCHIFの他プロジェクトに対して思う、被害を被るのは富裕企業やヒエラルギーの上であるということ。ストイックに社会を風刺する上で生まれる歪で純なアートは、二極化したそうでない人々の代弁のようにも思える。そこに付随するアート・エンターテインメントとしての“遊び心”に惑わされない真髄を紐解いていく。それは、アートを享受する我々への課題なのかもしれない。

「サタン シューズ」に合わせて発表されたリル ナズXの新曲『MONTERO(Call Me By Your Name)』は「同性愛批判」を逆手にとったMVに賛否両論が上がっている。

同性愛をフラットに表現する思惑とLGBTQに対する批判、キリスト教では神の敵対者、イスラム教では人間の敵対者とされるサタンを連想する人物の登場、そして本MVをキリスト教にとって大切な、聖週間のイブに公開したこと。

「サタン シューズ」は勿論本楽曲に対しても社会と共におりなう問題が散りばめられている(問題と称した時点で二極化は避けられないが)。今後アートやエンターテインメントを享受する身として、更にLGBTQや宗教に対する知性や理解が要されるはずだ。本件を機に、それらに馴染みの少ないこの日本のマジョリティーの在り方も含めたそれぞれの知見を蓄えて行くべきではないか。

4/10〜4/16

FUJI ROCK FESTIVAL ’21 第一弾ラインナップ発表!

FUJI ROCK FESTIVAL ’21のラインナップが発表された。新型コロナウイルスにより、中止を英断した2020年。2021年はようやくあの場所で、あの音楽を浴びることが出来そうだ。

1年間音楽を浴びれないことの辛さが、これほどの悲痛だったとは。RASWINPSから始まるほやほやのフライヤーを見た時、頬が自然と緩み、無意識に抑制していた5感の何かが解放される。

週末は迫るフジロックに備えて、THA BLUE HERB/ILL-BOSSTINOの金言を再度刻みたい。2012年、未曾有の震災に与えた魂の言葉。今我々の背中を押すように、今年のILL-BOSSTINOが10年後30年後の我々を支えていくのだろう。

音楽に浸って、心身ともにその喜びを嚙みしめよう。

ASTROが「Billboard LyricFind Global Chart」21位を記録

約10ヶ月ぶりのカムバックとなったASTROの躍進が止まらない。
2nd フルアルバム『All Yours』は、ASTROの多様な色が凝縮された1品。噛めば噛むほど味が出る〜のように、間違いなく10年後、20年後もそれぞれを彩り味を添え続けるだろう。

週末は『All Yours』と共に、体に悪そうな…甘いケーキを作りたい。

ラジオを聞いてるか?湘南新宿ラインに乗ることの意義。

今週の、空気階段の踊り場(TBSラジオ 毎週月曜24:00)、TOKYO SPEAKEASY マヂカルラブリー×永野回(Tokyofm 25:00)を聞いていると「湘南新宿ライン」を両者共通して話していた。

空気階段のもぐらが湘南新宿ラインでグリーン車に乗った体験、湘南付近での余生を語る永野とマヂカルラブリーの2人。なんてことないラジオの1幕が、この1週間の2つの交わりによって立体的に感じる。普段耳にすることの無い湘南新宿ラインのグリーン車のチケットを買ってしまいそうになる、変なマジック。週末は湘南へいくか。辻堂で降りて、映画『ピンポン』に想いをはせるのも良い。

何が言いたいかというと、今週末はラジオを聞いてほしい、アルコリズムされない無意識の情報が耳に飛び込んできて、なんてことない日常や物事が急に宝物に思えたりする。つまらない毎日は、そういう突発的な出会いから色が濃くなってくるはずだ。本記事で紹介するあれこれを素直に吸収するより、もっと特別なときめきがあると信じ、ラジオを勧めたい。空気階段の踊り場、ラジオクラウドで全話聞けます。是非。

4/1〜4/9

Bodega が6ブランドと協力し「UNITE AGAINST ANTI-ASIAN HATE”」を掲げた AAPI コミュニティー支援のフーディをリリース

 

この投稿をInstagramで見る

 

ringotomomo(@ringotomomo)がシェアした投稿

アメリカ・ボストン発のセレクトショップBodega(ボデガ)が、ここ数カ月の間にアメリカで深刻化するアジア系住民に対する差別に立ち向かうため、さまざまなブランドと協力して「UNITE AGAINST ANTI-ASIAN HATE」のメッセージが描かれた限定フーディをリリースした。

本プロジェクトには、Awake NY(アウェイク ニューヨーク)、Carhartt WIP(カーハート WIP)、ロサンゼルス発のストリートブランドPLEASURES(プレジャーズ)、韓国の新進ストリートブランドthisisneverthat(ディスイズネバーザット)、PRMTVO(プリミティボ)、KOREATOWN(コリアタウン)ら6ブランドが参画。製作されたフーディはブラックボディの左胸部分に先述のメッセージが、右袖には協力ブランドのロゴが並んでプリントされている。本アイテムは現在、Bodegaの公式オンラインストアにて4月9日(現地時間)まで予約受付中。

不安定に揺れる社会情勢の中、全ての人が当事者にも加害者にもなりうる人種差別は、決して見過ごしてはならない、永続的な問題である。所謂単一民族の日本に育つ身として、差別を非現実的に捉える人々も少なからずいるだろう。自身が当事者であり加害者にもなりうること。人種・宗教・ジェンダーなどアイデンティティーを多面的に捉えること。自身の日常に休符を置き、一度周囲を見渡してみて欲しい。

Bodega(ボデガ)による「UNITE AGAINST ANTI-ASIAN HATE」のファッションを介した訴えは、人々の意識の窓口を広げるきっかけになって欲しいと切に願う。

NiziUが2nd Single 『Poppin’ Shakin’』 のMVを公開

NiziU待望の新曲はカラフルなお菓子パーティーが舞台。
軽快なダンスミュージックとポップなメロディーが春〜夏を爽快に彩ってくれるはず。

2nd Single 『Take a picture』 MVはこちら

 

Sketchy(スケッチー) / マキヒロチ

 

この投稿をInstagramで見る

 

SKETCHY(@sketchy_ym)がシェアした投稿

『いつかティファニーで朝食を』、『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』の作者、マキヒロチによるガールズスケーターをテーマにした漫画『Sketchy(スケッチー)』を、この週末にオススメしたい。

マキヒロチさんといえば、仕事や恋愛の間で惑うアラサー女子の描写が印象的。それぞれの些細な心情を日常のきらめきと共に描く作品達は、時に笑い時に泣く、日々に揺蕩う女子たちのバイブルとして支持されている。

その中でも『Sketchy(スケッチー)』は、日常を過ごす上で距離を感じるスケートボードが題材。ありそうで無かった、女子の日常とストリートカルチャーの出会い。

レンタルショップの社員・川住憧子。仕事に彼氏、せわしないけれど、どこかぼんやりとした毎日を送る彼女は、ある日、一人のガールズスケーターに心を奪われる。ちょっとずつ見失ってきた希望、ちょっとずつ見えてきた将来。自分を変えるには今しかない。スケートボードに魅せられた女子の挫折と再生の日々。

ヤングマガジン公式サイトより

本作の魅力は、ストリートカルチャーを物語を進行させる上での“ツール”として、消化していないところ。頻出する固有名詞の解説、ガールズスケーターへの心服が濃厚に要所要所に散りばめられた教科書的存在。

挑戦に背中を押して欲しい人も、ストリートカルチャーに興味のある人も、是非手にとって欲しい。繊細な表情に垣間見える、ストリートの真髄を感じて欲しい。