2020SS ルック

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 〈PLATEAU STUDIO〉が設立された最初のころ、ジェリーは服のデザインには関わっていなかった。共同設立者でモデルのサンが服のデザインやグラフィックを作っていて、ジェリーは企画や営業、宣伝と経理を担当していた。サンはすごく良いやつだ。透明に近いイエローの髪で、華奢で、ボーイッシュな服を着ている。それにハスキーボイスだった。よく笑って、いつも爽やかなんだけれど、物作りの話を始めると熱心になる人だった。僕や僕の周りの友達は、日にちを決めて誰かと会うことが不得意なタイプが多い。サンはことさらに、そういうことが苦手だった。出来るときは出来るんだけれど、どうしても難しいときがあるみたいだった。それが原因だか、わからないけれど、ジェリーが会社員をやめてブランド運営に本腰を入れ始めたころには、ジェリーが服のデザインまでするようになっていた。

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ジェリーは服飾の学校とか、美大とかに通ったことはなくて、イラストレーターやフォトショップも使ったことがなかった。生まれたてのブランドをどうにかこうにか育てているうちに全部覚えたのだ。いつも彼は〈PLATEAU STUDIO〉のスタジオで、僕に新しいシーズンの服を見せながら、こういう服が着たかったからさあ、作った、と簡単そうに言う。服を作るのって意外と簡単なのか?と勘違いしてしまうくらいに、サラッと言う。

 最初、東門にあったスタジオは2回引っ越して、いまは台北と新北の境目の街にある。3階建で屋上付きの大きなスタジオだ。ここは〈PLATEAU STUDIO〉だけのスタジオではなくて、〈Professor.E〉や〈ANOWHEREMAN〉といったブランドとの共同スタジオで、近所には嫌味じゃない大きさの撮影スタジオもある。俺も1月ごろ、〈PLATEAU STUDIO〉の2020SSシーズンのルックブックの撮影のために何日か通った。その期間、ジェリーは毎日、俺が借りたAirBnBの下まで迎えに来て、バイクの後ろに乗せてくれた。途中でテキトウなチェーンのカフェに入って遅めの朝飯を食べながら撮影の話をして、走っているバイクの上でも大声で話し続けた。大きなスタジオと撮影スタジオを行き来しながら、以前と変わったことと変わっていないことについて考えたりもした。今は、俺もジェリーも仕事をしている。運が良いのか悪いのか、今のところ、僕らの仕事は趣味の延長線上にある。これからどうなるかは全然わからないけれど。


 
シーズンを経るごとにジェリーのスキルが上がっていくのがわかる。スキルというのは凄い。誰が見たってわかるのだから。それを追いかけるようにジェリーの周りも大きくなっていく。〈PLATEAU STUDIO〉が、以前は主軸商品で売っていたTシャツたちは、いまはカプセルコレクションになった。